一 最高裁判所に対し右再審の請求があつたときは、最高裁判所は、これを管轄権ある裁判所に移送すべきである。 二 裁判所法施行法第二條に基く裁判所法施行令第一條第一項にいわゆる「その他の手続」といううちには、大審院でした事實審理の公判手続を含むことは勿論その手続によりなした判決言渡手続及び言渡された判決をも含むものと解すべきである。されば、大審院廢止後の今日に於ては、東京高等裁判所が、本件の「原判決を爲した裁判所」にあたる。從つて本件申立(再審請求)の管轄權は同裁判所にあり、最高裁判所はこれを有しない。
一 最高裁判所に対し裁判所法施行前大審院が事実審理をして言渡した有罪判決に對する再審請求があつたときの処置 二 大審院のなした判決に對する再審請求に對する管轄裁判所
裁判所法施行令1条,旧刑訴法490条,裁判所施行法2条,裁判所施行令1条1項,旧刑訴法490条
判旨
大審院が事実審理を行った上で言い渡した有罪判決に対する再審請求について、裁判所法施行令1条に基づき、東京高等裁判所が「原判決をした裁判所」として管轄権を有する。
問題の所在(論点)
旧刑事訴訟法490条(現在の再審請求の管轄規定に相当)において、大審院が事実審理を行って言い渡した有罪判決に対する再審請求の管轄権は、新制度下において最高裁判所と東京高等裁判所のいずれに帰属するか。
規範
旧刑事訴訟法490条(現行刑訴法438条参照)が定める「原判決をした裁判所」の解釈に関し、裁判所法施行令1条にいう大審院がした「その他の手続」には、事実審理の公判手続、判決言渡手続、及び言い渡された判決自体も含まれると解すべきである。したがって、大審院廃止後の制度下においては、大審院が事実審理をして下した判決に対する再審請求の管轄は、同条に基づき東京高等裁判所に承継される。
重要事実
事件番号: 昭和32(き)5 / 裁判年月日: 昭和32年9月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院のした判決に対する再審の請求は、最高裁判所ではなく東京高等裁判所が管轄すべきである。 第1 事案の概要:申立人は、かつての大審院において下された判決に対し、再審の請求を最高裁判所に対して申し立てた。これに対し、最高裁判所が自ら審理すべきか、あるいは下級裁判所に移送すべきかが問題となった。 第…
請求人は、昭和17年に大阪控訴院で言い渡された有罪判決に対し上告した。これに対し、当時の大審院は事実誤認を疑う顕著な事由があるとして自ら事実審理を行い、昭和18年に有罪判決を言い渡した。その後、新憲法下の昭和23年、請求人は当該大審院判決に対し、最高裁判所へ再審の申し立てを行ったものである。
あてはめ
本件の原判決は、大審院が自ら事実審理を行った上で言い渡したものである。裁判所法施行令1条は、大審院がした手続を東京高等裁判所がしたものとみなすと規定しているところ、この「手続」には事実審理や判決そのものも含まれる。そうすると、本件の「原判決をした裁判所」は大審院であり、その地位を法的に承継した東京高等裁判所が管轄権を有することになる。したがって、最高裁判所には本件の管轄権は認められない。
結論
本件再審請求の管轄権は東京高等裁判所にあり、最高裁判所は管轄権を有しないため、本件を東京高等裁判所に移送する。
実務上の射程
戦前の旧法下で大審院が事実審理を伴う判決を下した特殊な事案に関する管轄の承継を判断したものであり、現在の再審請求実務において直接参照される場面は極めて限定的である。ただし、組織改編時における「原判決をした裁判所」の特定手法として、制度上の承継規定をどう解釈するかという視点を示すものである。
事件番号: 昭和23(ね)1 / 裁判年月日: 昭和24年3月5日 / 結論: その他
申請書添付の書類及び記録によつて明白な請求人が賍物牙保事件について、昭和二二年一月二八日東京區裁判所に於て有罪の判決を受け、之に對し控訴を申立てて同年五月一七日東京地方裁判所において再び有罪の判決を受け、上告を申立てて同年一〇月二一日東京高等裁判所において上告棄却の判決を受けている事實を參酌すると、本件再審の請求は第二…
事件番号: 昭和26(ヤ)5 / 裁判年月日: 昭和27年2月1日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院の確定判決に対する再審の訴えについては、裁判所法施行令1条の規定により、東京高等裁判所が「不服の申立てある判決をした裁判所」に当たると解される。 第1 事案の概要:本件は、大審院が昭和21年12月28日に言い渡した約束手形金請求事件の確定判決に対し、再審の訴えが提起された事案である。大審院廃…
事件番号: 昭和25(ヤ)2 / 裁判年月日: 昭和25年6月12日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院の確定判決に対する再審の訴えは、裁判所法施行法に基づく承継の規定により、東京高等裁判所の専属管轄に属する。最高裁判所は大審院がした判決言渡し等の手続を承継する裁判所ではないため、管轄権を有しない。 第1 事案の概要:本件は、昭和22年4月15日に大審院が言い渡した「麻加工製作禁止並損害賠償請…