申請書添付の書類及び記録によつて明白な請求人が賍物牙保事件について、昭和二二年一月二八日東京區裁判所に於て有罪の判決を受け、之に對し控訴を申立てて同年五月一七日東京地方裁判所において再び有罪の判決を受け、上告を申立てて同年一〇月二一日東京高等裁判所において上告棄却の判決を受けている事實を參酌すると、本件再審の請求は第二審則ち東京地方裁判所の確定判決に對する再審の請求であることが認められる。從つて、本件再審の請求については、舊刑事訴訟法第四九〇條により再審の對象である原判決を爲した東京地方裁判所に管轄權があつて當裁判所にはその管轄權のないことが明白である。
再審請求についての管轄裁判所
判旨
再審の請求は、対象となる確定判決を下した裁判所が管轄権を有する。最高裁判所に管轄権がない場合、管轄裁判所へ移送すべきである。
問題の所在(論点)
確定判決に対する再審請求が管轄外の裁判所(最高裁判所)になされた場合、裁判所はどのような措置を講じるべきか。
規範
再審請求の管轄は、原則として再審の対象である原判決を下した裁判所に属する(旧刑事訴訟法490条、現行438条参照)。管轄違いの申立てがなされた場合、裁判所は決定をもって管轄裁判所に移送しなければならない。
重要事実
請求人は、賍物牙保(ぞうぶつがほ)被告事件について、第一審(区裁判所)および控訴審(東京地方裁判所)で有罪判決を受け、上告審(東京高等裁判所)で上告棄却判決を受けた。その後、請求人は最高裁判所に対し、証人の偽証等を理由として再審を請求した。しかし、請求の内容から判断して、再審の対象とされているのは控訴審である東京地方裁判所の確定判決であった。
あてはめ
本件再審請求の内容および記録を精査すると、請求人が不服を申し立てているのは実質的に第二審である東京地方裁判所の確定判決である。刑事訴訟法の規定によれば、再審請求は原判決をした裁判所が管轄するため、本件の管轄権は東京地方裁判所にあり、最高裁判所には管轄権がないことが明白である。したがって、最高裁判所が直接受理して審理することはできず、正当な管轄権を有する裁判所へ事件を送致する必要がある。
事件番号: 昭和50(き)1 / 裁判年月日: 昭和50年3月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】再審請求の管轄裁判所は、原則として再審の請求を受けた判決を言い渡した裁判所であり、最高裁判所に管轄権がない場合には、当該請求は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:請求人は、名古屋地方裁判所が言い渡した有罪の確定判決、および名古屋高等裁判所が言い渡した控訴棄却の確定判決の破棄を求め、最高裁判…
結論
最高裁判所は本件について管轄権を有しないため、管轄裁判所である東京地方裁判所に本件を移送する。
実務上の射程
再審請求における管轄の所在を明示した判例であり、実務上、上告棄却により確定した場合でも、再審対象が下級審の判決であれば、その下級審に管轄があることを確認する際に用いる。また、管轄違いの場合に棄却ではなく移送を選択する処理の根拠となる。
事件番号: 昭和27(き)11 / 裁判年月日: 昭和28年2月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法上、確定判決に対する再審の請求は認められているが、確定決定に対する再審を許容する規定は存在しないため、確定決定に対する再審請求は不適法である。 第1 事案の概要:請求人は、上告を棄却した確定決定に対して再審を請求した。なお、本件において請求人が再審の事由とした具体的な事実関係については、…
事件番号: 昭和27(き)3 / 裁判年月日: 昭和28年7月24日 / 結論: 棄却
上告を棄却した確定判決に対する再審の請求は、当該確定判決自体に刑訴第四三六条第一項所定の事由があることを理由とするときにのみ許される。
事件番号: 昭和32(き)5 / 裁判年月日: 昭和32年9月30日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】大審院のした判決に対する再審の請求は、最高裁判所ではなく東京高等裁判所が管轄すべきである。 第1 事案の概要:申立人は、かつての大審院において下された判決に対し、再審の請求を最高裁判所に対して申し立てた。これに対し、最高裁判所が自ら審理すべきか、あるいは下級裁判所に移送すべきかが問題となった。 第…