判旨
法律審である上告審において、第一審及び原審で主張していなかった新たな事実上の抗弁を主張することは、適法な上告理由とはならない。
問題の所在(論点)
事実審で主張しなかった新たな事実上の抗弁を、上告審において初めて主張することが許されるか。
規範
上告審は法律審であり、原審(事実審)において確定された事実に基づき、原判決の法令適用の適否を審査するものである。したがって、事実審において主張されなかった新たな事実や抗弁を上告審で主張し、これに基づいて原判決の違法を非難することは許されない。
重要事実
被上告人(原告)が上告人(被告)に対し本件手形債務の履行を求めた事案。上告人は、第一審および控訴審において、被上告人が主張する手形債務の成立を認め、これに対して相殺の抗弁を主張するにとどまっていた。しかし、上告審に至り、上告人はそれまで主張していなかった新たな抗弁事実を主張し、原審がこれについて判断しなかったことを違法として原判決を非難した。
あてはめ
上告人は、事実審である第一審および第二審を通じて手形債務の成立を認め、相殺の抗弁のみを主張していた。原審は提出された証拠および主張に基づき判断を下しており、当時主張されていなかった新たな抗弁について審判しなかったことに何ら違法はない。上告人が主張する内容は、法律審において初めてなされた事実主張であり、上告適法の理由には当たらないといえる。
結論
本件上告は棄却される。上告審において新たな事実主張をすることはできない。
実務上の射程
民事訴訟法における法律審の構造を端的に示した判例である。答案上は、当事者が事実審で主張しなかった瑕疵等を上告審で持ち出した場合、法律審の性質から「新たな事実主張」として排除される根拠として利用できる。
事件番号: 昭和33(オ)305 / 裁判年月日: 昭和33年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が原判決の証拠取捨や事実認定の非難に帰する場合、それは適法な上告理由とは認められない。 第1 事案の概要:上告人らは、原判決が行った証拠の取捨、判断、および事実の認定に誤りがあるとして上告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):事実認定や証拠の取捨選択に対する不服申し立てが、適法な上告理…