判旨
警察官による捜査手続が、形式的に適法であるのみならず、実質的にも違法の点がないと認められる場合には、国家賠償法上の違法性は認められない。
問題の所在(論点)
警察官が行った捜査手続について、形式的に適法である場合に加え、実質的な違法性の有無が国家賠償法上の違法性判断においてどのように影響するか。
規範
国家賠償法上の違法性は、単に手続が形式的に法令に適合しているか否かのみならず、その捜査が実質的にも妥当性を欠くような違法な点がないかという観点から判断される。
重要事実
国家地方警察長野県上水内地区警察署員らが、窃盗被疑事件につき上告人らに対して捜査手続を行った。上告人らは、当該捜査手続には実質的な違法があり、国は賠償責任を免れないと主張して損害賠償を求めたが、原審は事実関係に基づき、当該捜査に違法はないと判断した。
あてはめ
本件における捜査手続は、原審が認定した事実に照らせば、あえて違法と認めるべき点は存在しない。原審の判断は、単に形式的な適法性を確認したにとどまらず、実質的な側面においても違法な点がないことを含めて判示したものと解される。したがって、上告人らが主張する「形式的に適法であっても実質的に違法であれば責任を免れない」という法理を前提としても、本件捜査に違法性は認められない。
結論
本件捜査手続に違法な点はなく、国家賠償責任は認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
捜査機関の活動に関する国家賠償請求において、形式的な適法性のみならず「実質的な違法性」の有無が審理対象となることを示唆している。答案上は、捜査手続が刑事訴訟法等の規定を遵守していても、比例原則逸脱や裁量権の濫用等の実質的違法があれば国賠法上の違法となり得ることを論証する際の基礎となり得る。
事件番号: 昭和59(オ)1416 / 裁判年月日: 昭和62年11月5日 / 結論: 棄却
国税犯則取締法一四条一項による通告は、証拠資料が相当な調査に基づいて収集されたものであり、これらの証拠資料を総合勘案して、通告時に犯則の心証を得たことにつき合理性があると認められる場合には、のちに通告に係る犯則事実が存在しないものと判断されたとしても、無効とされるものではない。