判旨
調停手続が終了するまで訴訟手続を中止すべき場合に、中止せずになされた判決の瑕疵は、その後に調停の申立てが取り下げられ調停手続が終了したことによって治癒される。
問題の所在(論点)
調停手続の中止義務に違反してなされた判決の効力、および、その後の調停手続の終了による瑕疵の治癒の成否。
規範
旧借地借家調停法5条(民事調停法附則13条により適用)に基づき、調停の終了まで訴訟手続を中止すべき義務がある場合であっても、裁判所が手続を中止せずに判決を言い渡したとき、その後、調停の取り下げ等により調停手続が終了した場合には、判決の瑕疵は治癒され、違法とはならない。
重要事実
被上告人による土地明渡請求に対し、上告人は借地権の存在を主張し、昭和26年9月29日に借地調停を申し立てた。原審は、借地借家調停法5条に基づき訴訟手続を中止すべき状況であったが、中止することなく同年10月8日に判決を言い渡した。しかし、その後、上告人は昭和27年4月17日に当該調停の申立てを取り下げ、調停手続は終了した。
あてはめ
本来であれば、本件調停の申立てが訴訟遅延目的でない限り、裁判所は調停終了まで訴訟手続を中止しなければならなかった。しかし、原審が中止せず判決を言い渡した後に、上告人自ら調停を取り下げて手続を終了させている。この事実により、本来待機すべきであった調停手続という障害が解消されたといえる。したがって、手続中止を怠ったという判決の瑕疵は、事後的な調停手続の終了という事実によって補完・治癒されたものと解される。
結論
原判決の瑕疵は治癒され、結局違法とはならない。したがって、上告は棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和28(オ)707 / 裁判年月日: 昭和29年2月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】調停申立てがあった場合に訴訟を中止するか否かは、民事調停規則5条に基づき、裁判所の裁量によって決すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、調停の申立てがあったにもかかわらず原審が訴訟手続を中止しなかったことを違法として上告した。また、原審において裁判官の更迭があったにもかかわらず適切な手続が取ら…
本判決は、手続中止義務違反という訴訟手続上の瑕疵が、その後の状況変化(中止すべき事由の消滅)によって治癒されることを認めた事例である。答案上は、訴訟手続の違法を主張する場面において、その違法が判決の結果に影響を及ぼさない、あるいは瑕疵が解消されたとする法理を検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和39(オ)787 / 裁判年月日: 昭和40年3月11日 / 結論: 棄却
忌避申立を受けた裁判官が忌避申立についての裁判確定前になした判決は、その後右申立が理由なしとして排斥されその裁判が確定するに至つたときは、有効となるものと解するのを相当とする。
事件番号: 昭和30(オ)349 / 裁判年月日: 昭和31年11月15日 / 結論: 棄却
調停の代理人たる弁護士に弁護士法第二六条違反の行為があつても、それによつてされた調停は当然無効ではない。
事件番号: 昭和26(オ)719 / 裁判年月日: 昭和28年6月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物収去土地明渡請求が権利の濫用に該当するか否かは、個別の事案における事実関係に基づいて判断される。本件のような事実関係の下では、当該請求が民法1条3項にいう権利の濫用に当たらないことは明白である。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人による本件建物の収去及び土地の明渡請求について争い、その請求が…
事件番号: 昭和46(オ)846 / 裁判年月日: 昭和47年6月23日 / 結論: 棄却
土地の賃借人およびその経営する会社が他に営業の場所を有するに至つたときまたは爾後の営業の準備に通常要する期間を経過したときをもつて明渡期限と定めて、土地賃貸借が合意解約された場合において、賃貸人に対し賃借人がその所有の他の土地建物を買い受けてもらう必要から、判示のような経過で解約を承諾したものであるときは、右合意につき…