判旨
確認の訴えの対象は、現在の権利又は法律関係に限られるべきであり、単なる過去の事実や事実関係の存否を確認することは、原則として確認の利益を欠き許されない。
問題の所在(論点)
証明書中の虚偽記載部分の無効確認を求める訴えが、民事訴訟法上の「確認の訴え」の対象(確認の利益)として認められるか。
規範
確認の訴えにおける対象は、原則として自己の現在の権利又は法律関係に限られる。単なる事実関係の存否(例えば証明書中の記載が虚偽であること等)は、それ自体が直接的な法律上の権利義務を生じさせるものではないため、原則として確認の訴えの対象とすることはできない。
重要事実
上告人は、ある証明書の中に虚偽の記載が含まれていると主張し、その「虚偽記載部分の無効確認」を求めて提訴した。これに対し、差戻控訴審判決は、本件訴えが単なる事実関係の確認に過ぎないとして、確認の訴えとしての適格を否定し、請求を棄却した。この判決は確定していたが、上告人はさらに争いを継続し、原判決の違法を主張して上告した。
あてはめ
本件で上告人が求めているのは、証明書の中の特定の記載が虚偽であるという点、すなわち「事実関係」の確認に帰着する。確認の訴えは、紛争を抜本的に解決するために現在の法律関係を確定するものであるべきであり、事実の存否それ自体を目的とするものは、訴訟制度の目的に照らして許容されない。本件の請求は、権利関係の発生・消滅の基礎となる事実にすぎず、独立して確認の対象となる法律関係には当たらないと解される。
結論
本件の訴えは単なる事実の確認を求めるものであり、確認の訴えとして不適法である。したがって、請求を棄却した原判決に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
確認の対象(民訴法134条関連)の原則論を示す射程。現在は「証書真否確認の訴え」(民訴法134条)が例外的に認められているが、本判決はそのような例外を除き、単なる事実の確認は許されないという基本原則を確認する際に引用できる。
事件番号: 昭和38(オ)613 / 裁判年月日: 昭和40年2月26日 / 結論: 棄却
現在の権利または法律関係の存否の確認を求めるのでなく、単に判決の無効確認を求めることは、許されない。