請求が証書真否確認の訴の対象たる資格を欠く不適法な訴においてした請求の認諾は、訴訟法上の効力を生じない。
請求が証書真否確認の訴の対象たる資格を欠く訴における請求の認諾の効力
民訴法203条,民訴法225条
判旨
証書真否確認の訴えの対象となる「法律関係を証する書面」(民訴法134条)とは、書面の内容から直接に一定の現在の法律関係の成立・存否が証明され得る書面を指す。過去の事実を報告するに留まる書面はこれに該当せず、また、不適法な訴えに対する被告の認諾は効力を生じない。
問題の所在(論点)
民事訴訟法225条(現134条)にいう「法律関係を証する書面」の意義、および過去の事実を報告するに過ぎない書面の適格性。また、対象とならない書面に対する認諾の効力。
規範
「法律関係を証する書面」とは、その書面自体の内容から直接に、一定の現在の法律関係の成立・存否が証明され得る書面を指すと解する。証書真否確定の訴えは、現在の給付または法律関係の確認の訴えという煩を避け、主要な書証の真否を確定することで事案解決に資することを目的とする制度だからである。また、確認の訴えの対象とならない不適法な訴えについて被告が認諾しても、立法理由に背反するため、訴訟上の効果は生じない。
重要事実
上告人は、郵便に付した信書について、その真否(偽造の有無)の確認を求める訴えを提起した。当該書面には「受取人不在に付き差出人に返送す 広島県」といった事実が記載されており、過去の事実の報告等を含むものであった。相手方はこの請求を認諾したが、原審は本件訴えを不適法として排斥したため、上告人が最高裁に上告した。
あてはめ
本件書面は郵便に付された信書であり、そこに記載された「受取人不在による返送」という内容は、過去の事実の報告に留まるものである。この内容は、それ自体から直接に「一定の現在の法律関係」の成立または存否を証明するものではないことが明白である。したがって、本件書面は確認の訴えの対象としての適格を欠く。また、訴え自体が不適法である以上、相手方が認諾の意思を示したとしても、適法な証書真否確認の訴えとしての法的効果を生じさせることはできない。
結論
本件書面は「法律関係を証する書面」に該当しないため、その偽造確認を求める訴えは不適法である。不適法な訴えに対する認諾も無効であり、訴えを排斥した原判決は正当である。
実務上の射程
証書真否確認の訴えの対象を「法律関係を証する書面」に限定した。答案上では、領収書や契約書のような法律関係を直接証する書面と、単なる事実の報告書や診断書のような書面を区別する際に本基準を用いる。また、本訴が不適法な場合の認諾の効力を否定した点も、確認の利益や訴訟要件の議論で応用可能である。
事件番号: 昭和24(オ)109 / 裁判年月日: 昭和27年11月20日 / 結論: 棄却
民訴第二二五条にいわゆる書面の真否とは、書面の成立が真正であるか否かということであつて、書面の記載内容が実質的に客観的事実に合致するか否かということまでも包含するのではない。
事件番号: 昭和41(オ)1287 / 裁判年月日: 昭和42年10月27日 / 結論: 棄却
証書の成立の真正が確定されても、原告の主張する土地占有権原である賃貸借契約もしくは使用貸借契約に基づく権利の存否について直接証明があつたことにならないため、右土地に関する権利関係の争がこれによつて解決されたことにならず、しかも、原告および被告間の別件訴訟において被告が原告に対して右土地につき建物収去土地明渡請求権を有す…