「受取人不在に付差出人ニ返戻ス広島県」と記載されているにすぎない書面は、民訴第二二五条にいわゆる法律関係を証する書面とはいえない。
真否確定の訴の目的となり得ない書面の一事例
民訴法225条
判旨
証書の真否確認の訴えの対象となる「証書」とは、その記載内容から一定の法律関係の存否を直接証明し得る文書を指し、郵便物の返戻理由が記載された付箋等はこれに当たらない。
問題の所在(論点)
郵便物の返戻理由を記載した付箋のような、特定の事実を示すに留まる文書が、証書の真否確認の訴えの対象である「証書」に該当するか。
規範
民事訴訟法第134条(旧225条)に規定される証書の真否確認の訴えの目的となり得る「証書」とは、その文書の記載内容自体から、一定の法律関係の存否が直接的に証明される文書であることを要する。単に発送等の事実や事情を示すに過ぎない文書は、これに含まれない。
重要事実
上告人は、郵便物に添付された「受取人不在に付差出人に返戻す広島県」という趣旨の記載がある付箋(所論文書)について、その真否の確定を求める訴えを提起した。上告人は、当該付箋が添付された封筒の記載や信書発送に関する事情等と総合すれば、同条の「証書」に該当すると主張した。
あてはめ
本件文書の記載内容は「受取人不在による返戻」という事実を示すものに過ぎない。たとえ封筒の記載と総合したとしても、その記載内容自体から直ちに一定の法律関係の存否(権利義務の発生・変更・消滅等)が証明されるものとは認められない。また、封筒内の書翰の内容や発送事情といった外部的事情を考慮して「証書」該当性を判断すべきではない。したがって、当該文書は本条の「証書」の要件を満たさない。
結論
本件文書は証書の真否確認の訴えの対象となる「証書」に該当せず、かかる訴えは不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
確認の訴えの対象を限定する趣旨。証書の真否確認の訴えが「法律関係」ではなく「事実」である証書の真否を対象とする例外的な訴訟形態であることから、対象となる証書は、法律関係を直接証明する書面(処分証書や重要な報告証書)に限定されることを示している。
事件番号: 昭和24(オ)109 / 裁判年月日: 昭和27年11月20日 / 結論: 棄却
民訴第二二五条にいわゆる書面の真否とは、書面の成立が真正であるか否かということであつて、書面の記載内容が実質的に客観的事実に合致するか否かということまでも包含するのではない。
事件番号: 昭和41(オ)1287 / 裁判年月日: 昭和42年10月27日 / 結論: 棄却
証書の成立の真正が確定されても、原告の主張する土地占有権原である賃貸借契約もしくは使用貸借契約に基づく権利の存否について直接証明があつたことにならないため、右土地に関する権利関係の争がこれによつて解決されたことにならず、しかも、原告および被告間の別件訴訟において被告が原告に対して右土地につき建物収去土地明渡請求権を有す…