現在の権利または法律関係の存否の確認を求めるのでなく、単に判決の無効確認を求めることは、許されない。
判決の無効確認を求める訴の許否。
民訴法第2編第1章,民訴法225条
判旨
判決の無効そのものの確認を求める訴えは、現在の権利又は法律関係の存否の確認を求めるものではないため、確認の利益を欠き不適法である。
問題の所在(論点)
民事訴訟法における確認の訴えにおいて、既に確定した判決の無効そのものの確認を求めることが「現在の権利又は法律関係」の確認として許容されるか。すなわち、判決の無効確認の訴えの適法性が問題となる。
規範
確認の訴えが適法であるためには、対象が「現在の権利又は法律関係」でなければならない。過去の事実や単なる事実認定、あるいは判決の効力そのものの存否を直接の対象とする訴えは、原則として確認の利益を欠く。
重要事実
上告人(原告)は、既に出されている各判決が無効であることの確認を求めて本訴を提起した。この請求は、判決が無効であることを前提として、それによって影響を受ける特定の現在の具体的な権利(所有権の存否等)や法律関係の確認を求めるものではなく、純粋に判決という公権的判断の無効確認を目的とするものであった。
あてはめ
本件において上告人が求めているのは、特定の各判決が無効であること自体の確認である。これは、紛争の直接の解決対象となる「現在の権利又は法律関係の存否」を確認するものではない。判決が無効であることにより生じる現在の法律上の紛争を解決するためには、その無効を前提とした具体的な権利関係(例えば債務の不存在や物権の帰属)を訴訟の対象とすべきであり、判決の効力自体を対象とする本訴は不適法といわざるを得ない。
結論
判決の無効確認を求める訴えは、現在の権利又は法律関係を対象とするものではないため不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
確認の対象の選択における「対象の適切性」に関する基礎的な判例である。答案上は、確認の利益の検討において「対象が現在の権利又は法律関係であること」を論じる際の否定例として活用できる。特に、既判力ある判断を争う手段は再審等に限定されており、独立の訴えで判決無効を争うことの困難性を示唆する。
事件番号: 昭和26(オ)772 / 裁判年月日: 昭和28年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】確認の訴えの対象は、現在の権利又は法律関係に限られるべきであり、単なる過去の事実や事実関係の存否を確認することは、原則として確認の利益を欠き許されない。 第1 事案の概要:上告人は、ある証明書の中に虚偽の記載が含まれていると主張し、その「虚偽記載部分の無効確認」を求めて提訴した。これに対し、差戻控…
事件番号: 昭和38(オ)936 / 裁判年月日: 昭和40年11月25日 / 結論: 破棄差戻
手附倍戻しにより売買契約が解除されて終了したと主張して右売買契約が存在しないことの確認を求める訴は、文言どおり解すれば、過去の法律関係の確認を求めるのと異なるところがないが、右売買契約が解除された結果生ずべき現在の権利または法律関係について直接に確認または給付を求める趣旨が窺えないでもないから、原審としては、右請求につ…