単に供託が無効であることの確認を求める訴は、許されない。
供託無効確認の訴の適否。
民法494条,民訴法225条
判旨
確認の訴えは、原則として現在の法律関係の確認を求める場合にのみ許されるものであり、過去の事実である供託の無効確認を求めることは、特段の事情がない限り確認の利益を欠く。
問題の所在(論点)
過去の行為である「供託」が無効であることの確認を求める訴えについて、民事訴訟法上の「確認の利益」が認められるか。
規範
確認の訴えが許容されるためには、原則として現在の権利又は法律関係の確認を求めるものであることを要する。過去の法律関係の確認を求める訴えは、それが現在の権利・法律関係に影響を及ぼすとしても、直接現在の権利等の確認を求めることが可能な場合には、即時確定の利益を欠き不適法となる。
重要事実
上告人は、被上告人(銀行)に対して定期預金債権を有していたが、被上告人は「債権者を確知できない」として弁済供託を行った。これに対し上告人は、自らが弁済を受けるべき者であることは明白であり、供託要件を欠くため供託は無効であると主張した。その上で、被上告人が供託の有効性を主張して支払いに応じないため、過去になされた「供託の無効確認」を求めて提訴した。
事件番号: 昭和36(オ)340 / 裁判年月日: 昭和37年7月13日 / 結論: 破棄差戻
弁済供託の供託金取戻請求権が転付命令により供託者の他の債権者に転付されただけでは、被供託者の供託金還付請求権に消長をきたすものではなく、したがつて供託の効力が失われるものではない。
あてはめ
本件訴訟の対象は、過去になされた供託行為が無効であることの確認を求めるものであり、過去の法律関係の確認を求める趣旨にとどまる。上告人が主張する紛争の実態は、定期預金債権の存否や支払請求に関するものであるから、上告人としては、当該供託が無効であることを前提として、直接「現在の権利」である定期預金債権の支払請求(給付の訴え)や、当該債権の存在確認を求めるべきである。したがって、過去の事実である供託の無効確認を求めることは、紛争解決のために適切かつ必要とは認められず、法律上の利益を欠く。
結論
過去の法律関係の確認を求める本件訴えは、確認の利益を欠き不適法である。したがって、本案判決をした原判決および第一審判決を破棄し、訴えを却下する。
実務上の射程
確認の利益における「対象の適切性」を示す重要判例である。答案上は、特定の過去の行為(供託や契約解除など)自体の無効・有効を争う訴えに対し、現在の給付の訴え等が可能である場合に「より抜本的な解決手段がある」として確認の利益を否定する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和38(オ)613 / 裁判年月日: 昭和40年2月26日 / 結論: 棄却
現在の権利または法律関係の存否の確認を求めるのでなく、単に判決の無効確認を求めることは、許されない。
事件番号: 昭和27(オ)743 / 裁判年月日: 昭和30年9月30日 / 結論: 棄却
一 相続の放棄が無効であることの確認を求める訴は、不適法である。 二 相続の放棄が無効であることの確認を求める請求に対し、被告が、口頭弁論において、原告の請求どおりの判決を求める旨陳述しても、請求の認諾の効力を生ずるものではない。