第三者に対する医業類似行為業者たる旨の証明書を知事が交付しても、指圧学校の経営者は、その無効確認を求める法律上の利益を有しない。
第三者に対する資格証明行為の無効確認を求める訴の利益。
行政事件訴訟特例法1条
判旨
行政庁による第三者への証明書交付行為に対し、自己の経営上の不利益を理由に無効確認を求めることは、単なる事実上の不利益にすぎず、法律上の利益を欠くため不適法である。
問題の所在(論点)
行政庁が第三者に対して行った証明行為の無効確認を求める訴訟において、競合する施設経営者が主張する経営上の不利益は、行政事件訴訟法上の「法律上の利益」に該当するか。
規範
行政処分等の無効確認を求める訴えにおいて、原告適格(法律上の利益)が認められるためには、当該行為により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれがあることを要する。単なる事実上、経済上の不利益はこれに含まれない。
重要事実
あん摩師等の養成施設を経営する上告人が、高知県知事が第三者らに対して行った「医業類似行為業者である旨の証明書」の交付行為の無効確認を求めて提訴した。上告人は、当該証明により当該施設への入学志望者が減少し、施設の経営が困難になるという不利益を主張した。
事件番号: 昭和35(オ)29 / 裁判年月日: 昭和35年8月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】無効確認の訴えが適法であるためには、確認の対象となるべき具体的な権利または法律関係が存在し、かつ、その無効確認を求める法律上の利益または必要性が認められなければならない。 第1 事案の概要:上告人は、何らかの行為(詳細は判決文からは不明)の無効確認を求めて訴えを提起した。これに対し、原審は、確認の…
あてはめ
本件における証明書の交付は、上告人本人に対するものではなく、第三者に対してなされたものである。上告人が主張する「入学志望者の減少による経営困難」という不利益は、当該証明行為の結果として生じ得る事実上の波及効果にすぎない。これは反射的利益の喪失や自由競争の範囲内の不利益であって、法が個別的に保護する利益の侵害とはいえない。
結論
上告人は本件証明行為の無効確認を求める法律上の利益を有しない。したがって、本件訴えは訴えの利益(原告適格)を欠き、不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
原告適格における「法律上の利益」と「事実上の利益」を峻別する古典的判例。第三者に対する行政処分により、経済的な競争上の不利益を受ける者が原告適格を有するかを判断する際、当該根拠法規が競業者の利益を保護する趣旨を含むか否かを検討する前提として、単なる事実上の不利益を排除する論理として機能する。
事件番号: 昭和39(オ)327 / 裁判年月日: 昭和40年11月25日 / 結論: その他
単に供託が無効であることの確認を求める訴は、許されない。
事件番号: 昭和34(オ)1215 / 裁判年月日: 昭和36年3月3日 / 結論: 棄却
農地所有権が登記簿上の住所から転居した際、郵便局にその旨届出をしておいたため、買収令書の交付に代る公告が行われた昭和二四年三月三一日当時においては、登記簿上の旧住所あての郵便物は転送されすべて新住所で受領されており、買収計画に関する同年二月二一日附の県農地委員会の訴願裁決書(あて先は、いつたん旧住所を記載の上新住所に訂…