判旨
無効確認の訴えが適法であるためには、確認の対象となるべき具体的な権利または法律関係が存在し、かつ、その無効確認を求める法律上の利益または必要性が認められなければならない。
問題の所在(論点)
具体的な権利義務関係に基づかない抽象的な事象の無効確認を求める訴えについて、確認の利益が認められ、適法な訴えといえるか。
規範
確認の訴えが適法と認められるためには、①確認の対象が具体的な権利または法律関係であること、②その確認を求めることについて、原告の法的地位に現存する不安・危険を除去するために有効かつ適切であるという「法律上の利益」(確認の利益)が認められること、③無効宣言を求める法律上の根拠があることが必要である。
重要事実
上告人は、何らかの行為(詳細は判決文からは不明)の無効確認を求めて訴えを提起した。これに対し、原審は、確認の対象となる具体的な権利若しくは法律関係が存在しないこと、または無効確認を求める法律上の利益・必要性や法的根拠がないことを理由に、訴えを不適法と判断した。上告人はこれを不服として上告した。
あてはめ
本件において、上告人が主張する無効確認の対象は、具体的な権利または法律関係とはいえない(判決文からは対象の詳細は不明)。また、当該無効確認を求めることが、上告人の具体的な法的権利の実現や紛争解決に資するものとは認められず、法律上の利益や必要性も欠いている。さらに、当該無効宣言を基礎付ける法的根拠も存在しない。したがって、本件訴えは、民事訴訟における確認の訴えの対象および利益の要件を充足しないと解される。
結論
本件無効確認の訴えは、確認の対象としての具体性を欠き、かつ確認の利益も認められないため、不適法として棄却されるべきである。
実務上の射程
事件番号: 昭和35(オ)1444 / 裁判年月日: 昭和39年4月17日 / 結論: 棄却
私立学校法附則第三項により私立学校の組織変更につき所轄庁の認可がなされた場合に、右認可の取消につき訴願の裁決を経なくても、右組織変更の無効確認の訴を提起することができる。
本判決は、確認の訴えにおける「確認の利益」の基本原則を示したものである。答案上は、対象の適格(現在・具体的な権利関係)と即時確定の利益の要件を検討する際の根拠として活用する。特に行政処分や抽象的な法律上の地位の確認を求める事案において、民事訴訟の対象となるか否かを振り分ける際の基準として機能する。
事件番号: 昭和36(オ)1015 / 裁判年月日: 昭和37年9月28日 / 結論: 棄却
第三者に対する医業類似行為業者たる旨の証明書を知事が交付しても、指圧学校の経営者は、その無効確認を求める法律上の利益を有しない。
事件番号: 昭和35(オ)1445 / 裁判年月日: 昭和39年4月17日 / 結論: 棄却
一 私立学校法附則第二項所定の期間を徒過した場合には、従前の民法による財団法人は、寄附行為の変更によりその目的を変更していないかぎり、民法第六八条第一項第二号により、当然解散する。 二 前項の期間の徒過が当該財団法人の責に帰すべからざる事由によるものであつても、その解散に影響はない。
事件番号: 昭和35(オ)769 / 裁判年月日: 昭和38年10月24日 / 結論: 棄却
確認の訴が許されるためには、被告に対する関係において原告の地位に法律上の危険ないし不安が存するのみでなく、それを除去するにつき当該確認判決を得ることが適切な手段であることを要するのであつて、別件訴訟の前提問題として判断されるべき事項につき、改めて別に確認の判決を求める利益はないといわねばならない(昭和三一年(オ)第二六…