私立学校法附則第三項により私立学校の組織変更につき所轄庁の認可がなされた場合に、右認可の取消につき訴願の裁決を経なくても、右組織変更の無効確認の訴を提起することができる。
私立学校法附則第二項による私立学校の組織変更の無効確認の訴を提起するためには、予め右組織変更の認可の取消の訴願裁決を経ることを要するか。
私立学校法附則2項,私立学校法附則3項
判旨
私立学校法附則3項に基づく組織変更の認可は、他人の法律上の行為を補充してその効力を完成させる「認可」(講学上の補充行為)にすぎない。したがって、認可の前提となる組織変更手続自体に実体的な瑕疵がある場合には、行政庁の認可があったとしても当然にその効力は生じない。
問題の所在(論点)
行政庁による組織変更の「認可」がある場合、その前提となる私法上の行為に瑕疵があっても、認可の存在によってその効力が維持されるのか。また、無効を主張するために行政上の不服申立て等を経る必要があるか。
規範
私立学校法附則3項による組織変更の認可の法的性質は、他人の法律的行為を補充してその効力を完成させる「補充行為」である。かかる認可は、対象となる行為の瑕疵を治癒し、完成された法律上の効果を発生させるものではない。したがって、前提となる法律行為が不存在または無効である場合には、認可があってもその効力は発生せず、民事訴訟においてその無効を主張し得る。
重要事実
上告人A1らは、財団法人D高等女学校の理事ではないにもかかわらず、理事に就任した旨の書類を偽造して登記を行い、これに基づき当該財団法人の組織変更(学校法人への移行)の認可申請を行った。所轄庁はこれに対し私立学校法附則3項に基づく認可を与えたが、元理事である被上告人は、組織変更手続の前提となる理事就任等が虚偽であり無効であるとして、組織変更の無効確認および登記の抹消等を求めて提訴した。これに対し上告人側は、行政庁の認可がある以上、その取消しを求めない限り無効を主張できないと争った。
事件番号: 昭和35(オ)1445 / 裁判年月日: 昭和39年4月17日 / 結論: 棄却
一 私立学校法附則第二項所定の期間を徒過した場合には、従前の民法による財団法人は、寄附行為の変更によりその目的を変更していないかぎり、民法第六八条第一項第二号により、当然解散する。 二 前項の期間の徒過が当該財団法人の責に帰すべからざる事由によるものであつても、その解散に影響はない。
あてはめ
本件における認可は講学上の補充行為に該当する。上告人A1が理事就任書類を偽造して認可申請に及んだという事実は、組織変更手続の根幹に瑕疵があることを意味する。補充行為としての認可は、これら私法上の不備を当然に治癒するものではないため、偽造等の事実がある以上、認可がなされたとしても組織変更の効力は生じない。また、認可が効力を完成させる性質のものである以上、その前提となる行為の無効を争うにあたり、行政上の訴願(現在の審査請求等)を経る必要もない。
結論
組織変更の無効を主張するのに何ら妨げはなく、認可があったとしても、前提となる行為が偽造等に基づき無効であれば、組織変更そのものが無効となる。
実務上の射程
行政上の認可(補充行為)が必要とされる私法上の行為(法人設立、定款変更、組織変更等)において、私法上の手続に瑕疵がある場合の構成として一般化できる。答案上は、認可の性質を「補充行為」と定義し、認可によって瑕疵が治癒されないことを論証した上で、民事訴訟による直接的な無効主張の可否を判断する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和35(オ)29 / 裁判年月日: 昭和35年8月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】無効確認の訴えが適法であるためには、確認の対象となるべき具体的な権利または法律関係が存在し、かつ、その無効確認を求める法律上の利益または必要性が認められなければならない。 第1 事案の概要:上告人は、何らかの行為(詳細は判決文からは不明)の無効確認を求めて訴えを提起した。これに対し、原審は、確認の…
事件番号: 昭和44(オ)466 / 裁判年月日: 昭和46年6月29日 / 結論: 破棄差戻
一、有限会社の株式会社への組織変更の手続に重大なかしがあるとして、その効力を争う場合には、株式会社の設立無効の訴に関する商法四二八条の規定を準用し、組織変更後の会社の株主または取締役は、組織変更後の会社を被告として、その設立無効の訴を提起しうるものと解するのが相当である。 二、組織変更前の有限会社に対し持分を有する者が…
事件番号: 昭和31(オ)267 / 裁判年月日: 昭和33年7月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】確認の訴えが許されるためには、原告の地位にある法律上の不安を除去するために当該確認判決を得ることが即時確定の利益を有し、かつ適切な手段であることを要する。建物明渡訴訟を提起されている被告が、当該訴訟の前提問題にすぎない原告法人の設立の効力を別訴で争うことは、即時確定の利益を欠き許されない。 第1 …
事件番号: 昭和33(オ)475 / 裁判年月日: 昭和34年6月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】宗教団体から脱退し、新設された宗教法人の門徒としての地位も取得していない者は、当該団体における門徒たる地位を喪失する。 第1 事案の概要:上告人らを含むいわゆるD派は、B宗団に属していたが、昭和27年5月15日以降に同宗団から脱退した。その後、被上告人法人が設立されたが、上告人らは同法人の門徒にな…