判旨
宗教団体から脱退し、新設された宗教法人の門徒としての地位も取得していない者は、当該団体における門徒たる地位を喪失する。
問題の所在(論点)
特定の宗教宗派から脱退した者、および新設された宗教法人に加入していない者について、その門徒としての地位の喪失を認めた原審の事実認定および証拠評価に違法があるか。
規範
特定の宗教団体から離脱した事実、及び新たに設立された承継組織等の門徒となる手続を執っていない事実が証拠に基づき認められる場合、当該個人は旧団体の門徒たる地位を喪失したものと判断される。事実認定については、裁判所の専権に属する自由な証拠評価により、諸般の証拠を総合して判断すべきである。
重要事実
上告人らを含むいわゆるD派は、B宗団に属していたが、昭和27年5月15日以降に同宗団から脱退した。その後、被上告人法人が設立されたが、上告人らは同法人の門徒になる手続も行っていなかった。原審は、証拠(乙第3号証の原本等)を総合的に勘案し、上告人らがB宗団の門徒たる地位を喪失しており、かつ被上告人法人の門徒でもないと認定した。これに対し、上告人らは事実認定の過程に違法があるとして上告した。
あてはめ
原審は、提出された証拠(乙第3号証の原本)に基づき、上告人らが宗団から脱退したという経緯を認定している。また、他の証拠を総合しても、上告人らが被上告人法人の設立後にその門徒となった事実は認められない。このような認定は、裁判所の専権事項である自由な証拠評価の範囲内であり、経験則や論理則に反するような不合理な点は認められない。
結論
上告人らはB宗団の門徒たる地位を喪失しており、被上告人法人の門徒でもない。したがって、上告人らの請求(あるいは主張)は認められず、上告は棄却される。
実務上の射程
事件番号: 昭和31(オ)267 / 裁判年月日: 昭和33年7月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】確認の訴えが許されるためには、原告の地位にある法律上の不安を除去するために当該確認判決を得ることが即時確定の利益を有し、かつ適切な手段であることを要する。建物明渡訴訟を提起されている被告が、当該訴訟の前提問題にすぎない原告法人の設立の効力を別訴で争うことは、即時確定の利益を欠き許されない。 第1 …
宗教団体の内部紛争において、門徒や団員の地位の有無が争点となる際、脱退の意思表示や新組織への加入手続の有無といった客観的事実に基づき、裁判所が事実認定を行う際の基準となる。信教の自由との兼ね合いが問題となり得る事案だが、本判決は純粋な事実認定の問題として処理しており、証拠法則の枠組みで門徒の地位喪失を肯定する際の論理として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)1444 / 裁判年月日: 昭和39年4月17日 / 結論: 棄却
私立学校法附則第三項により私立学校の組織変更につき所轄庁の認可がなされた場合に、右認可の取消につき訴願の裁決を経なくても、右組織変更の無効確認の訴を提起することができる。
事件番号: 昭和28(オ)1334 / 裁判年月日: 昭和31年3月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】宗教法人令に基づく神社の設立において、財産に関する事項は神社規則の必要的記載事項ではなく、財産の存否は設立自体の効力に影響を及ぼさない。 第1 事案の概要:上告人らは、被上告人である神社の設立登記の抹消を求めて提訴した。その理由として、神社の財産関係に関する主張が適切に判断されていないことや、財産…
事件番号: 昭和35(オ)769 / 裁判年月日: 昭和38年10月24日 / 結論: 棄却
確認の訴が許されるためには、被告に対する関係において原告の地位に法律上の危険ないし不安が存するのみでなく、それを除去するにつき当該確認判決を得ることが適切な手段であることを要するのであつて、別件訴訟の前提問題として判断されるべき事項につき、改めて別に確認の判決を求める利益はないといわねばならない(昭和三一年(オ)第二六…
事件番号: 昭和31(ヤ)4 / 裁判年月日: 昭和33年4月22日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審事由としての判断遺脱(民訴法338条1項9号)は、判決に影響を及ぼすべき重要事項について判断が漏れていることを指し、当該事項の判断が必要ないと判示した場合は判断遺脱に当たらない。 第1 事案の概要:再審被告法人が宗教法人として成立しているか否かが争われた本案訴訟の上告審において、裁判所は、財産…