確認の訴が許されるためには、被告に対する関係において原告の地位に法律上の危険ないし不安が存するのみでなく、それを除去するにつき当該確認判決を得ることが適切な手段であることを要するのであつて、別件訴訟の前提問題として判断されるべき事項につき、改めて別に確認の判決を求める利益はないといわねばならない(昭和三一年(オ)第二六七号昭和三三年七月一八日第二小法廷判決、裁判集三二号八六一頁参照)。
別訴の前提問題として判断されるべき事項につき確認判決を求める利益。
民訴法225条
判旨
確認の訴えが許されるためには、原告の地位に法律上の不安が存するだけでなく、確認判決を得ることが紛争解決の適切な手段であることを要し、別件訴訟の前提問題として判断され得る事項につき別に確認の訴えを提起することは確認の利益を欠く。
問題の所在(論点)
先行して係属している給付の訴え等において、その前提問題として争われている法律関係について、別途独立して確認の訴えを提起することは、確認の利益(方法の適切性)を充足するか。
規範
確認の訴えの利益が認められるためには、被告に対する関係において原告の地位に法律上の危険ないし不安が存在するだけでなく、その不安を除去するために当該確認判決を得ることが「有効かつ適切な手段」であることを要する。したがって、先行する別件訴訟において争点(前提問題)として判断され得る事項について、別途、独立して確認の訴えを求めることは、特段の事情がない限り、方法の適切さを欠き、確認の利益を否定すべきである。
重要事実
宗教法人B1は、上告人に対し、建物の明け渡しや死体の改葬等を求める別件訴訟を提起していた。上告人は、当該別件訴訟において、B1の設立が無効であることや、B2が住職に特任されたことが無効であることを主張して争っていた。しかし、上告人はこれとは別に、B1の設立無効等の確認を求める本件訴訟を提起したため、本件訴訟における確認の利益の有無が争点となった。
事件番号: 昭和57(オ)1229 / 裁判年月日: 昭和62年3月12日 / 結論: 棄却
宗教法人の代議制意思決定機関がした決議の不存在確認の訴えは、当該法人の人的構成要素であり、かつ、右機関の議員の選挙及び被選挙資格を有する者によつてされた場合であつても、そのことの故に直ちに確認の利益があるものとはいえない。
あてはめ
上告人が主張する「B1の設立無効」等の事項は、先行して提起されている建物明渡請求訴訟等の別件訴訟において、その請求の成否を左右する前提問題として既に争われている。上告人にとっての法律上の不安は、当該別件訴訟の中で主張・立証を尽くすことで解消されるべきものであり、別件の判断を待たずに本件訴訟で独立して確定を求めることは、紛争解決のための適切な手段とはいえない。また、事務管理者としての地位についても、供託等の代替手段により義務免脱が可能であり、別途確認判決を得る必要性も認められない。
結論
別件訴訟の前提問題にすぎない事項について確認の判決を求める本件訴訟は、確認の利益を欠き、不適法である。
実務上の射程
確認の利益の三要素(対象の適格・即時確定の必要性・方法の適切性)のうち「方法の適切性」に関するリーディングケースである。答案上は、給付の訴えが可能である場合や、本件のように既に別件訴訟で争点化している場合に、重複訴訟の禁止(民訴法142条)の議論と並んで、確認の利益を否定する根拠として引用する。
事件番号: 昭和33(オ)475 / 裁判年月日: 昭和34年6月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】宗教団体から脱退し、新設された宗教法人の門徒としての地位も取得していない者は、当該団体における門徒たる地位を喪失する。 第1 事案の概要:上告人らを含むいわゆるD派は、B宗団に属していたが、昭和27年5月15日以降に同宗団から脱退した。その後、被上告人法人が設立されたが、上告人らは同法人の門徒にな…
事件番号: 昭和51(オ)958 / 裁判年月日: 昭和55年1月11日 / 結論: その他
一 寺院の住職たる地位の確認を求める訴が単に宗教上の地位についてその存否の確認を求めるものであるにすぎない場合には、右住職たる地位が宗教法人たる寺院の代表役員たりうる基本資格となるものであるときでも、右訴は、確認の訴の対象たるべき適格を欠くものに対する訴として不適法である。 二 特定人の住職たる地位の存否が他の具体的権…
事件番号: 昭和31(オ)267 / 裁判年月日: 昭和33年7月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】確認の訴えが許されるためには、原告の地位にある法律上の不安を除去するために当該確認判決を得ることが即時確定の利益を有し、かつ適切な手段であることを要する。建物明渡訴訟を提起されている被告が、当該訴訟の前提問題にすぎない原告法人の設立の効力を別訴で争うことは、即時確定の利益を欠き許されない。 第1 …