判旨
確認の訴えが許されるためには、原告の地位にある法律上の不安を除去するために当該確認判決を得ることが即時確定の利益を有し、かつ適切な手段であることを要する。建物明渡訴訟を提起されている被告が、当該訴訟の前提問題にすぎない原告法人の設立の効力を別訴で争うことは、即時確定の利益を欠き許されない。
問題の所在(論点)
建物明渡請求訴訟の被告が、同訴訟の前提問題(原告の法人格の有無)を別訴で確認することについて、確認の利益(権利保護の利益)が認められるか。
規範
確認の訴えの利益(権利保護の利益)が認められるためには、被告に対する関係において原告の地位に法律上の危険ないし不安が存し、それを除去するにつき当該確認判決を得ることが適切な手段であることを要する(即時確定の利益の必要性)。
重要事実
被上告人(法人)が上告人らに対し、建物の明渡しを求める別訴を提起した。これに対し上告人らは、当該建物の明渡しを命じられる不安を除去することを目的として、別訴の原告である被上告人法人の設立の効力の有無(法人格の存否)を確認する本件訴訟を提起した。
あてはめ
上告人らが主張する「法律上の危険ないし不安」は、別訴において建物の明渡しを命じられることに尽きる。この不安を除去するためには、当該明渡訴訟の中で、被上告人の法人格を争う、あるいは自らの占有権原を主張立証する等の防御方法を提出することが適切な手段である。本件のように、本来の訴訟(明渡訴訟)の前提問題として判断され得るにすぎない事項について、あえて別訴をもって確認判決を求めることは、紛争解決の手段として適切とはいえない。
結論
本件訴訟には権利保護の利益(確認の利益)を肯定する余地はなく、訴えは不適法である。
実務上の射程
事件番号: 昭和35(オ)1444 / 裁判年月日: 昭和39年4月17日 / 結論: 棄却
私立学校法附則第三項により私立学校の組織変更につき所轄庁の認可がなされた場合に、右認可の取消につき訴願の裁決を経なくても、右組織変更の無効確認の訴を提起することができる。
確認の利益の三要素(対象の適切性、即時確定の利益、方法の適切性)のうち、特に「方法の適切性」に関するリーディングケースである。本案訴訟が係属している場合、その前提問題を別訴で確認することは、紛争の一回的解決や訴訟経済の観点から原則として否定される。答案上は、現在給付の訴え等のより直接的な手段がある場合に確認の訴えを制限する論拠として用いる。
事件番号: 昭和33(オ)600 / 裁判年月日: 昭和34年4月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】財団法人の理事長等の職務権限の不存在確認を求める訴えにおいて、仮に当該役員の選任規定が無効であっても、原告が当然に後任の役員に選任される地位にない限り、確認の利益を認めることはできない。 第1 事案の概要:財団法人D文庫の寄附行為(定款)には、理事長は「設立者累代の家督相続人」が就任する旨の規定が…
事件番号: 昭和33(オ)475 / 裁判年月日: 昭和34年6月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】宗教団体から脱退し、新設された宗教法人の門徒としての地位も取得していない者は、当該団体における門徒たる地位を喪失する。 第1 事案の概要:上告人らを含むいわゆるD派は、B宗団に属していたが、昭和27年5月15日以降に同宗団から脱退した。その後、被上告人法人が設立されたが、上告人らは同法人の門徒にな…
事件番号: 昭和34(オ)1059 / 裁判年月日: 昭和35年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法人の役員選任行為が会長の専権事項である場合、その行使が解散を強行して私腹を肥やすための手段であるといった事情が証拠により認められない限り、権限の濫用には当たらない。 第1 事案の概要:財団法人である本件団体において、会長であるBらが新たな理事および評議員を選任した。これに対し、反対派(上告人ら)…
事件番号: 昭和36(オ)764 / 裁判年月日: 昭和38年11月28日 / 結論: 棄却
後見監督人を選任する審判は、告知により効力を生じ、就職の届出により効力を生ずるものではない。