一 私立学校法附則第二項所定の期間を徒過した場合には、従前の民法による財団法人は、寄附行為の変更によりその目的を変更していないかぎり、民法第六八条第一項第二号により、当然解散する。 二 前項の期間の徒過が当該財団法人の責に帰すべからざる事由によるものであつても、その解散に影響はない。
一 私立学校法附則第二項所定の期間の徒過と従前の民法による財団法人の解散。 二 右期間の徒過が当該財団法人の責に帰すべからざる事由による場合でも当然解散となるか。
民法68条1項2号,私立学校法附則2項
判旨
民法上の財団法人が、法律の規定により特定の目的事業を継続することが法律上許されなくなった場合には、民法68条1項2号の「法人の目的たる事業の成功の不能」に該当し、主務官庁の許可取消を待たず当然に解散する。
問題の所在(論点)
法令の変更により法人の主たる目的事業の継続が法律上禁止されるに至った場合、民法上の「目的たる事業の成功の不能」として当然に解散するか。また、その際に主務官庁の処分が必要か、および法人の帰責事由が影響するか。
規範
民法68条1項2号(現行民法法人の解散事由、及び一般社団・財団法人法148条1号・202条1項1号参照)にいう「目的たる事業の成功の不能」とは、事実上の不能のみならず、法令の改廃等により当該事業の経営が法律上許されなくなった場合も含まれる。この事由が生じたときは、法人は事由の発生と同時に当然に解散し、主務官庁による設立許可の取消等の処分を要しない。また、この不能が法人の責に帰すべき事由によるか否かは解散の成否に影響しない。
重要事実
民法上の財団法人であったD高等女学校は、私立学校法(昭和25年施行)の規定に基づき、施行から1年以内に学校法人への組織変更を行うことが義務付けられていた(同法附則2項等)。同法によれば、この期間内に組織変更を行わない限り、民法上の財団法人が学校経営を継続することは法律上許されないこととなっていた。本件では、当該期間内に有効な組織変更が行われず、また寄附行為の変更による目的変更もなされないまま期間が経過した。
事件番号: 昭和35(オ)1444 / 裁判年月日: 昭和39年4月17日 / 結論: 棄却
私立学校法附則第三項により私立学校の組織変更につき所轄庁の認可がなされた場合に、右認可の取消につき訴願の裁決を経なくても、右組織変更の無効確認の訴を提起することができる。
あてはめ
学校教育法および私立学校法の規定により、私立学校の設置主体は原則として学校法人に限定され、既存の財団法人は1年間の猶予期間内に組織変更を行うことが求められた。この期間を徒過したことは、法律上、当該財団法人が目的とする学校経営を継続することが不可能になったことを意味する。これは民法68条1項2号の解散事由に該当する。また、同条の規定に照らせば、当該事由の発生と同時に当然に解散するのであり、主務官庁の許可取消を待つ必要はない。さらに、組織変更ができなかったことが法人の責に帰すべからざる事由によるものであったとしても、法律上の運営が禁止された以上、解散の結論は左右されない。
結論
本件財団法人は、組織変更を行わずに法定の猶予期間を経過した時点で、目的事業の成功が不能になったものとして当然に解散したといえる。
実務上の射程
法人の解散事由における「目的の成功不能」に、法令上の禁止という『法的不能』が含まれることを示した判例。答案上は、法人の権利能力や存続が問題となる場面で、行政処分を待たず「当然解散」する点や、帰責事由の有無を問わない客観的な判断枠組みとして引用できる。
事件番号: 昭和31(オ)267 / 裁判年月日: 昭和33年7月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】確認の訴えが許されるためには、原告の地位にある法律上の不安を除去するために当該確認判決を得ることが即時確定の利益を有し、かつ適切な手段であることを要する。建物明渡訴訟を提起されている被告が、当該訴訟の前提問題にすぎない原告法人の設立の効力を別訴で争うことは、即時確定の利益を欠き許されない。 第1 …
事件番号: 昭和35(オ)29 / 裁判年月日: 昭和35年8月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】無効確認の訴えが適法であるためには、確認の対象となるべき具体的な権利または法律関係が存在し、かつ、その無効確認を求める法律上の利益または必要性が認められなければならない。 第1 事案の概要:上告人は、何らかの行為(詳細は判決文からは不明)の無効確認を求めて訴えを提起した。これに対し、原審は、確認の…
事件番号: 昭和33(オ)475 / 裁判年月日: 昭和34年6月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】宗教団体から脱退し、新設された宗教法人の門徒としての地位も取得していない者は、当該団体における門徒たる地位を喪失する。 第1 事案の概要:上告人らを含むいわゆるD派は、B宗団に属していたが、昭和27年5月15日以降に同宗団から脱退した。その後、被上告人法人が設立されたが、上告人らは同法人の門徒にな…
事件番号: 昭和44(オ)466 / 裁判年月日: 昭和46年6月29日 / 結論: 破棄差戻
一、有限会社の株式会社への組織変更の手続に重大なかしがあるとして、その効力を争う場合には、株式会社の設立無効の訴に関する商法四二八条の規定を準用し、組織変更後の会社の株主または取締役は、組織変更後の会社を被告として、その設立無効の訴を提起しうるものと解するのが相当である。 二、組織変更前の有限会社に対し持分を有する者が…