判旨
村議会の解散請求に関する投票の有効性や請求者の法定数充足といった事実認定に関する主張は、上告審における調査事項に当たらない場合、審理不尽等の違法を理由とした上告は認められない。
問題の所在(論点)
地方自治法上の議会解散請求(リコール)の有効性を争う訴訟において、投票の真実性や請求者の数といった事実関係に関する立証申出を排斥した原判決に対し、審理不尽等の違法を理由として上告をなしうるか。
規範
最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、事実認定の当否やそれに付随する採証法則違反・審理不尽の主張は、原則として最高裁判所が調査すべき事項(上告理由)に当たらない。
重要事実
上告人(a村会議長)は、a村議会の解散請求についてなされた賛否の投票が真実のものであるか、および解散請求者が法定数に達していたかについて疑義を呈した。上告人はこれらの事実を立証するための申出をしたが、原審はこれを排斥し、被上告人(青森県選挙管理委員会)による解散請求を有効とした裁決を是認した。これに対し、上告人は採証法則違反および審理不尽を理由に上告した。
あてはめ
上告人の主張は、要するに原審が事実認定の過程で立証申出を排斥したことの不当を説くものである。しかし、当該投票が真実か否か、また請求者が法定数に達していたか否かという点は純然たる事実問題である。特例法に照らせば、これらの点に関する原審の判断の当否は、最高裁判所が調査すべき事項には該当しないと解される。したがって、原判決に採証法則違反や審理不尽の違法があるとする論旨は採用できない。
結論
本件上告を棄却する。原判決に審理不尽の違法はなく、事実認定に関する不服は上告理由とならない。
実務上の射程
事件番号: 昭和25(オ)205 / 裁判年月日: 昭和29年3月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】都道府県知事が市町村の廃置分合等を行う前提となる県議会の議決は、外部に対し直接法律上の効果を及ぼすものではないため、行政処分に当たらない。 第1 事案の概要:昭和23年法律179号(現行の地方自治法関連)に基づき、県知事が市町村の廃置分合または境界変更を定めるにあたり、その前提要件として当該都道府…
選挙やリコールに関する争訟であっても、事実認定の合理性や証拠採用の是非といった問題は、憲法違反や判例違反を伴わない限り、上告審での審理対象とはならないことを示す。実務上、事実誤認を実質的な理由とする審理不尽の主張は、特例法により制限されるという枠組みを確認する際に参照される。
事件番号: 昭和25(オ)200 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
昭和二三年法律第一七九号(地方自治法の一部を改正する法律)附則第二条第五項の都道府県議会の議決の取消を求める訴は不敵法である。
事件番号: 昭和25(オ)321 / 裁判年月日: 昭和26年2月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由が「最高裁判所における民事上告事件の特例に関する法律」所定の事由に該当せず、法令の解釈に関する重要な主張も含まない場合、最高裁判所は内容の調査をせずに上告を棄却できる。 第1 事案の概要:上告人らが原判決を不服として上告を提起したが、その論旨が当時の特例法に定められた上告受理の要件(憲法違…
事件番号: 昭和36(オ)200 / 裁判年月日: 昭和36年4月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】選挙事務従事者による不正行為や開票録表示数の不真正は、それが選挙の管理執行に関する規定違反にあたり、選挙の結果に影響を及ぼす蓋然性がある場合には、公職選挙法205条1項に基づき選挙を無効とする理由になり得る。 第1 事案の概要:本件選挙において、投票所及び開票所の選挙事務従事者が不正行為を行った。…