判旨
都道府県知事が市町村の廃置分合等を行う前提となる県議会の議決は、外部に対し直接法律上の効果を及ぼすものではないため、行政処分に当たらない。
問題の所在(論点)
都道府県知事が行う市町村の廃置分合等の前提となる県議会の議決は、抗告訴訟の対象となる「処分」に該当するか。
規範
行政事件訴訟法上の「処分」(行政処分)とは、行政庁の行為のうち、直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。それ自体が県の意思として外部に表示されず、または外部に対して直接法律上の効果を及ぼさない中間的工程としての行為は、処分性を有しない。
重要事実
昭和23年法律179号(現行の地方自治法関連)に基づき、県知事が市町村の廃置分合または境界変更を定めるにあたり、その前提要件として当該都道府県議会の議決が行われた。上告人らは、この議決が行政処分であると主張して、その取消し等を求めて出訴した。
あてはめ
本件議決は、法律上、県知事が行う廃置分合等の行政処分を行うための「前提要件」として規定されているに過ぎない。この議決自体は県の意思として外部に表示されるものではなく、また住民等の外部に対して直接的な法律上の効果を及ぼすものでもない。さらに、地方自治法が知事による出訴を認める規定は、行政機関相互の意見調整のための特別規定であって、議決に処分性を認める根拠にはならない。議員除名議決のように、議決自体で直ちに権利剥奪の効果を生ずるものとは性質が異なる。
結論
本件議決は行政処分たる性質を有さず、行政訴訟の対象とはなり得ない。したがって、本件訴えは不適法である。
実務上の射程
事件番号: 昭和25(オ)200 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
昭和二三年法律第一七九号(地方自治法の一部を改正する法律)附則第二条第五項の都道府県議会の議決の取消を求める訴は不敵法である。
行政プロセスにおける中間段階の行為(内部的行為)の処分性を否定した典型例。最終的な知事の処分(廃置分合の決定)を争うべきであり、その内部的な前提要件に過ぎない議決段階での出訴は認められないという「処分の成熟性・完結性」の観点から答案で活用できる。
事件番号: 昭和25(オ)411 / 裁判年月日: 昭和26年3月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】村議会の解散請求に関する投票の有効性や請求者の法定数充足といった事実認定に関する主張は、上告審における調査事項に当たらない場合、審理不尽等の違法を理由とした上告は認められない。 第1 事案の概要:上告人(a村会議長)は、a村議会の解散請求についてなされた賛否の投票が真実のものであるか、および解散請…
事件番号: 昭和34(オ)1215 / 裁判年月日: 昭和36年3月3日 / 結論: 棄却
農地所有権が登記簿上の住所から転居した際、郵便局にその旨届出をしておいたため、買収令書の交付に代る公告が行われた昭和二四年三月三一日当時においては、登記簿上の旧住所あての郵便物は転送されすべて新住所で受領されており、買収計画に関する同年二月二一日附の県農地委員会の訴願裁決書(あて先は、いつたん旧住所を記載の上新住所に訂…
事件番号: 昭和35(オ)694 / 裁判年月日: 昭和37年7月13日 / 結論: 破棄自判
一 小学校教諭が三月二五日に学校長に退職願を提出したが、同日夜撤回を決意し、翌二六日学校長に対し撤回方の尽力を依頼し、翌二七日市教育委員会学校教育課長に撤回を申し入れ、さらに、翌二八日に県教育委員会委員長に対し、退職願取消の申入と題する自己名義の文書に押印し発送した場合は、年度末教員の大異動が差し迫つていたからといつて…