判旨
屋台式露店の設置を目的とし、6ヶ月の短期間かつ地主の催告により直ちに明け渡す約定がなされた土地賃貸借は、一時使用のための借地権として借地法の適用を受けない。
問題の所在(論点)
「屋台式露店」の設置を目的とし、極めて短い解約告知期間を定めた土地賃貸借契約において、旧借地法9条(一時使用のための借地権)の適用が認められるか。
規範
建物所有を目的とする土地の賃貸借であっても、賃貸借の期間、目的、建物の種類、構造、及び明渡しに関する特約等の諸般の事情を総合考慮し、客観的に賃貸借関係を短期間で終了させる合意があったと認められる場合には、「一時使用のために借地権を設定したことが明らかであるとき」(旧借地法9条、現借地借家法25条)に該当し、借地法上の存続期間や更新に関する規定は適用されない。
重要事実
地主Dは、昭和21年5月8日、E統制組合に対し、本件宅地の一部を間口1間・奥行1間の「屋台式露店」を設置する目的で賃貸した。約定では、期間を6ヶ月とし、地主が5日前に催告すれば組合は直ちに土地を明け渡すこと、また、明渡し時の移転先として特定の広場を予定することが定められていた。その後、賃貸人は賃貸借期間の経過により終了したと主張したが、借地法の適用の有無が争点となった。
あてはめ
本件では、第1に、設置目的が永続的な建物ではなく「屋台式露店」という簡易な構造物であること、第2に、約定期間が6ヶ月と短期間であること、第3に、地主が5日前に催告すれば直ちに明け渡すという、強行法規である借地法の原則とは相容れない即時返還の特約があること、第4に、移転先が予め予定されていたことが認められる。これらの事実に照らせば、本件賃貸借は客観的に一時使用のために設定されたことが明らかであるといえる。
結論
本件賃貸借は一時使用のためのものであるため借地法の適用はなく、約定期間の経過により終了する。
実務上の射程
一時使用の借地権(借地借家法25条)の判断において、建物の堅牢性、賃貸期間の短さ、明渡し特約の存在、代替地の確保といった要素が重要であることを示す。司法試験においては、建物所有目的が認められる場合であっても、これらの事実を拾って同条の適用(借地法の適用除外)を論じる際の考慮要素として活用できる。
事件番号: 昭和37(オ)727 / 裁判年月日: 昭和38年1月22日 / 結論: 棄却
一 借地権消滅後地上建物を買受けた者は、建物買取請求権がない。 二 土地の一時使用の賃貸借については、建物買取請求権がない。
事件番号: 昭和39(オ)58 / 裁判年月日: 昭和39年7月3日 / 結論: 棄却
土地の賃貸借契約が当初甲市内に散在していた露天商を一時整理収容するために市役所等のあっせんにより期間を一年と限って成立し、その後借地人らの申出によって期間を限って契約が再三更新され、かつ、最終の契約においては、期間を一年三箇月とし賃貸人の許可なく組立式以外の建物の築造を禁止し、夜警以外の居住を禁止するなど原判決の認定の…