判旨
屋台式露店の設置を目的とし、賃貸期間を6ヶ月、地主の催告により直ちに明け渡す旨の約定がある賃貸借契約は、一時使用のための借地権にあたり借地法の適用を受けない。
問題の所在(論点)
屋台式露店の設置を目的とする短期間の土地賃貸借について、借地法(現借地借家法25条)の「一時使用」にあたるか否か。
規範
賃貸借の目的、期間、解約に関する特約、及び明け渡し後の移転予定地の有無等の諸事情を総合考慮し、客観的にみて短期間で契約を終了させる意図が認められる場合には、「一時使用のために借地権を設定したことが明らかなとき」(現借地借家法25条)に該当し、借地法の更新拒絶に関する制限等の規定は適用されない。
重要事実
地主Dは、E統制組合に対し、間口1間・奥行1間の屋台式露店を設置する目的で本件宅地の一部を賃貸した。約定では、期間を6ヶ月とし、地主が5日前に催告すれば組合は直ちに土地を明け渡すこと、また明け渡しの際の移転先として警察署横の広場が予定されていた。その後、賃借人は地主の承諾なく占有範囲を拡張した。
あてはめ
本件では、賃貸借の目的が簡易な屋台式露店の設置に限定されている。また、賃貸期間が6ヶ月と極めて短く、かつ地主からの短期間の猶予による解約・明渡特約が付されている。さらに、明渡後の移転先まで一応予定されていた事実に照らせば、本件契約は一時的な土地利用を目的とするものであることが客観的に明らかである。したがって、本件賃貸借は一時使用のためのものであると認められ、約定期間の経過により終了する。
結論
本件賃貸借は一時使用のための借地権であり、借地法の適用はない。約定期間の経過により賃貸借は終了し、不法に拡張された占有部分についても明け渡しが認められる。
実務上の射程
借地借家法25条の「一時使用」の該当性判断において、建物の種類(簡易性)、期間の短さ、解約の容易性、移転先の確保といった具体的事実を総合考慮する実務上の判断枠組みを示している。特に屋台のような簡易な構造物の場合、一時使用性が認められやすいことを示唆する。
事件番号: 昭和28(オ)714 / 裁判年月日: 昭和30年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法(現行借地借家法25条)における一時使用目的の借地権の成否は、使用目的や期間等の諸事情から総合的に判断される。建物収去を伴う解約において、当初の催告期間が短期間であっても、その後の相当期間の経過により解約の効力は生じる。 第1 事案の概要:本件は、宅地を棒炭の乾燥場として使用する目的で賃貸借…
事件番号: 昭和39(オ)58 / 裁判年月日: 昭和39年7月3日 / 結論: 棄却
土地の賃貸借契約が当初甲市内に散在していた露天商を一時整理収容するために市役所等のあっせんにより期間を一年と限って成立し、その後借地人らの申出によって期間を限って契約が再三更新され、かつ、最終の契約においては、期間を一年三箇月とし賃貸人の許可なく組立式以外の建物の築造を禁止し、夜警以外の居住を禁止するなど原判決の認定の…