判旨
二つの発明が同一であるか否かは、発明構成の主要点において相一致するか否かにより判断されるべきであり、細部の相違があっても主要点が共通すれば同一発明と認められる。
問題の所在(論点)
特許法における二つの発明の同一性判断において、構成の一部に相違がある場合に、どの程度の共通性があれば同一と認められるか。特に「主要点」の一致が同一性を基礎付けるか。
規範
二つの発明が同一であるか否かは、各事案における具体的な発明の構成を対比して判断されるべき事柄である。具体的には、発明構成の主要点において相一致するか否かという観点から判断し、枝葉の点において相違があっても、主要な構成が共通していれば同一の発明と解するのが相当である。
重要事実
上告人の有する特許(第173800号)と、被上告人の有する特許(第172705号)の同一性が争われた事案である。原審は、両発明について枝葉の点において相違があるものの、その発明構成の主要点において相一致するとして、同一発明であると判定した。これに対し、上告人は当該判断が大審院の判例に反するとして上告した。
あてはめ
本件における二つの発明を対比すると、確かに細部(枝葉の点)においては異なる点が存在する。しかし、発明の本質をなす構成の主要点に着目すれば、両者は相一致しているといえる。このような場合、個別の事案に応じた具体的な判断として、両発明を同一と解することは正当である。上告人が主張する大審院判例は、本件のような具体的な構成の対比が問題となるケースには適切ではない。
結論
二つの発明が構成の主要点において一致する以上、枝葉の点に相違があっても同一発明と認められ、上告を棄却する。
実務上の射程
発明の同一性判断における「要部」の共通性を重視する実務の先駆けといえる。答案上は、特許法29条1項各号や39条の同一性判断において、単なる形式的な一致ではなく、発明の主要な構成(技術的思想の核心)が共通しているかどうかを論じる際の論拠として活用できる。ただし、本判決自体は判示が簡潔であるため、現代の審査基準や進歩性の議論と整合させて記述する必要がある。
事件番号: 昭和32(オ)176 / 裁判年月日: 昭和35年6月28日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】判決の基礎となる重要な証拠資料と、判決が付した図形が明らかに異なり、真の商標との類似性を判断していない場合には、理由不備の違法がある。 第1 事案の概要:上告人の出願商標と、引用登録商標(第290580号)の類似性が争われた事案。原審は、判決書別紙下段に「引用登録商標」とする図形を掲載し、出願商標…