判旨
日本国籍の離脱届出が有効であるためには、当該届出が本人の意思に基づいていることを要するが、父による代行手続であっても本人の意思に基づくものと認められる場合には有効である。
問題の所在(論点)
父が子に代わって行った国籍離脱の届出が、本人の意思に基づくものとして有効と認められるか。また、その際に明示的な代理権付与等の認定が必要か。
規範
国籍離脱の届出のような身分上の行為においては、本人の真実の意思に基づくことが必要である。もっとも、手続自体を他者が代行した場合であっても、その行為が本人の意思に基づくものと推測され、かつその認定に経験則違背等の不合理がない限り、代理権付与や手続委任の明示的な判示がなくとも有効な届出として認められる。
重要事実
上告人らの父Dが、上告人らの名義をもって日本国籍の離脱届出の手続を行った。上告人らは、当該届出は自分たちの意思に基づくものではなかったと主張し、国籍離脱の無効を訴えて上告した。原審は、諸般の事実関係から、当該届出が上告人らの意思に基づいてなされたものと認定していた。
あてはめ
本件では、原判決が認定した諸般の事実(詳細は判決文からは不明)に照らせば、父Dによる届出は上告人らの意思に基づくものであったと推測できる。上告人らは意思に反すると主張するが、原審の説明には経験則に反する点はなく、十分な合理性がある。したがって、本人の意思が存在したと認められる以上、別途「代理権の付与」や「手続委任の意思表示」を個別に判示せずとも、届出は有効なものとして取り扱われるべきである。
結論
本件の国籍離脱届出は有効であり、上告人らの請求(国籍確認等)を棄却した原判決は妥当である。
実務上の射程
身分上の行為に関する意思確認の要否と、代行手続の有効性が問題となる場面で活用できる。明示的な委任がなくとも、諸般の事情から本人の意思が推認されれば有効となり得ることを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和24(オ)119 / 裁判年月日: 昭和32年11月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】出生による日本国籍取得後の継続的な国籍保有を求める訴えについて、多数意見は特段の不適法を指摘せず事実認定の当否を本案判断の対象としている。これにより、現在の国籍確認の訴えは、公法上の権利義務の関係として確認の利益が認められるとの前提に立つものと解される。 第1 事案の概要:上告人は、出生によって日…