判旨
出生による日本国籍取得後の継続的な国籍保有を求める訴えについて、多数意見は特段の不適法を指摘せず事実認定の当否を本案判断の対象としている。これにより、現在の国籍確認の訴えは、公法上の権利義務の関係として確認の利益が認められるとの前提に立つものと解される。
問題の所在(論点)
出生によって取得した日本国籍を現在も継続して有することの確認を求める「国籍確認の訴え」が、確認の対象として適法か。また、国籍離脱の効力を左右する「意思の有無」に関する事実認定の誤りが上告理由となるか。
規範
特定の時点(出生時)に取得した日本国籍を現在も継続して有することを確認する訴え(国籍確認の訴え)について、判決はこれを直ちに不適法とはせず、国籍離脱の意思表示の有無といった事実関係に基づき実体的な判断を行う。すなわち、国籍という公法上の地位は、確認の利益を充たす限りにおいて、民事訴訟による確認の対象となる。
重要事実
上告人は、出生によって日本国籍を取得した者であるが、後に国籍離脱の手続きがなされた。上告人は、当該国籍離脱は自らの意思に基づくものではなかったと主張し、現在も引き続き日本国籍を有することの確認を求めて提訴した。原審(控訴審)は、国籍離脱が上告人の意思に基づいたものであると事実認定し、上告人の請求を退けたため、上告人が事実認定の誤りを理由に上告したものである。
あてはめ
多数意見は、上告理由が「事実認定の誤り」を主張するものに過ぎないとして、民事訴訟法上の適法な上告理由(憲法違反や判例違反等)に当たらないと判断した。これは、裏を返せば、国籍の存否という確認の訴え自体は適法であり、原判決の事実認定(国籍離脱の意思があったという認定)に誤りがなければ、請求棄却という結論が維持されることを前提としている。一方で、真野毅裁判官の反対意見は、このような過去の事実(出生)に基づく現在の地位の確認は、確認訴訟の対象として不適法であると指摘しているが、法廷の結論には影響しなかった。
結論
本件上告を棄却する。国籍離脱が本人の意思に基づくものであったとする事実認定は上告審で争えず、上告人が現在日本国籍を有しないとする原審の判断が確定した。
事件番号: 昭和24(オ)160 / 裁判年月日: 昭和32年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の原因となる申請に自由意思を抑圧しない程度の強迫という瑕疵があっても、処分は当然無効とはならず、出訴期間を経過した後はその取消しを求めることもできない。 第1 事案の概要:上告人らは、日本国籍回復許可の申請を行い、これに基づき国籍回復許可の行政処分を受けた。その後、上告人らは当該申請が強迫…
実務上の射程
国籍確認の訴えについて、多数意見が却下せずに実体判断(上告棄却)を行っている点に実務上の意義がある。現在では、国籍法上の地位が争われる場合、公法上の法律関係に関する確認の訴えとして、訴えの利益が肯定される。答案上では、国籍の存否という基本権に関わる事項について、司法的な救済手段が確保されていることを示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和27(オ)559 / 裁判年月日: 昭和28年11月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁に対する国籍回復許可申請などの公法上の行為は、外部からの不当な干渉により意思決定の自由を完全に喪失しているような特段の事情がない限り、有効な意思表示として取り扱われる。 第1 事案の概要:上告人は、国籍回復許可申請を行ったが、後に当該申請が強迫に基づくものである、または自由な意思決定に基づか…