判旨
条件の成就によって利益を受けるべき者が、相手方の妨害によってその条件の成就を妨げられたと主張して損害賠償を請求する場合、相手方が故意に条件の成就を妨げたという事実が認められない限り、当該請求は認められない。
問題の所在(論点)
条件の成就によって不利益を受ける当事者が、信義則に反してその条件の成就を妨げたといえるか。特に、損害賠償請求の前提として「故意」による妨害の有無がどのように判断されるべきか。
規範
民法130条1項(旧130条)の規定を前提に、条件付権利の侵害に基づく損害賠償請求が認められるためには、条件の成就を妨げた当事者に「故意」による妨害行為が認められることを要する。
重要事実
上告人(報酬請求権者)は、被上告人との間で特定の条件が成就した場合に報酬を得る旨の合意をしていた。しかし、被上告人が故意に当該条件の成就を妨げたため報酬請求権を失ったと主張し、被上告人に対し損害賠償を求めて提訴した。原審は、証拠に基づき、被上告人が故意に条件の成就を妨げた事実は存在しないと認定した。
あてはめ
本件において、上告人の損害賠償請求は「被上告人が故意に条件の成就を妨げた」という事実を前提とするものである。しかし、原審の事実認定によれば、被上告人が故意に条件成就を妨げた事実は認められない。したがって、条件が成就したものとみなす(または不法行為を構成する)前提を欠く以上、損害賠償請求を排斥した原審の判断に違法はない。
結論
条件の成就を妨げたとする故意の事実が認められない以上、損害賠償請求は認められない。上告棄却。
実務上の射程
民法130条1項の「故意に」の解釈および立証責任の所在を確認する事案である。答案上は、条件成就の擬制が認められない場合であっても、別途不法行為(709条)や条件付権利の侵害(128条)に基づく賠償請求を検討する際、妨害行為の主観的態様が決定的な要素となることを示す際に引用できる。
事件番号: 昭和26(オ)890 / 裁判年月日: 昭和28年2月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の自白が成立するためには、相手方の主張する自己に不利益な事実を認める旨の明確な表示が必要であり、書面や調書の記載からその事実を認めたと認められない場合には、自白の成立は否定される。 第1 事案の概要:上告人は、本件売買が自らの斡旋によって成立したものであると主張した。これに対し、被上告人が第…