空地であつても、耕作者が自作農創設特別措置法によつて買い受けた農地のため、わら、堆肥その他肥料桶等の置場、農作物の乾燥場として一〇年にわたり使用して来、使用不可能になればその農業経営が挫折するおそれのある場合は、その土地は自作農創設特別措置法第一五条第一項第一号の農業用施設と解するを相当とする。
空地を自作農創設特別措置法第一五条第一項の農業用施設と認めた例
判旨
自作農創設特別措置法15条1項1号にいう「農業用施設」は、狭義の施設に限られず、農業経営上不可欠な堆肥置場や乾燥場として利用される土地も含まれる。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法15条1項1号に規定される「農業用施設」の範囲に、工作物等のない土地(堆肥置場や乾燥場等)が含まれるか。また、地目が宅地であることはその判断に影響するか。
規範
自作農創設特別措置法15条1項1号にいう「農業用施設」の観念は、溜池、用排水路、農道等の土地そのものが施設である場合に限定されるものではなく、農業経営上の必要性に基づき、具体的関係から判断すべきである。また、対象地の登記上の地目が宅地であったとしても、実態に基づき農業用施設として取り扱うことを妨げない。
重要事実
参加人Cは古くから農を本業としており、本件土地を10年にわたり使用してきた。Cは、旧来の農耕地および農地改革により取得した農地の維持・経営のため、本件土地をわら鳰(わらにお)、堆肥、肥料桶等の置場や農作物の乾燥場として利用していた。もし本件土地の使用が法律上不能となれば、Cの農業経営は挫折するおそれがある状況にあった。買収計画は、本件土地が同法15条1項1号および2号に該当するものとして樹立された。
あてはめ
本件土地は、10年という長期間にわたり参加人の農業経営において堆肥置場や乾燥場として供されており、その必要性は極めて高く、使用不能となれば農業経営が挫折するほどの重要性を有している。このような具体的利用状況に鑑みれば、本件土地は農業経営に不可欠な「農業用施設」としての実態を備えているといえる。また、登記上の地目が宅地であっても、右の利用実態を否定するものではないため、同号の施設として扱うのが相当である。
結論
本件土地は自作農創設特別措置法15条1項1号の農業用施設に該当し、本件買収計画は適法である。
実務上の射程
行政法における「法概念の解釈」や、農地法関連の事案において、形式的な定義や地目にとらわれず、具体的必要性や利用実態から目的論的に解釈すべき場面で活用できる。特に「施設」の概念を機能的に捉える際の論拠となる。
事件番号: 昭和26(オ)412 / 裁判年月日: 昭和28年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消訴訟における処分の違法性は、処分当時の事実状態に基づいて判断すべきであり、口頭弁論終結時までの事情の変動を考慮してその当否を判断することはできない。また、自作農創設特別措置法15条1項2号の附帯買収は、場所的・機能的附随性は不要であるが、売渡農地の経営に必要であることが要求される。 …
事件番号: 昭和27(オ)131 / 裁判年月日: 昭和28年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法15条1項2号に基づく建物の買収には、明文の規定がなくとも、当該建物が売渡農地の利用上必要であることを要する。 第1 事案の概要:訴外Dは、本件建物に10年以上居住し農業を続けていた。その後、自作農創設特別措置法に基づき、わずか3畝10余歩の農地の売渡しを受けた。これに附帯して…
事件番号: 昭和25(オ)383 / 裁判年月日: 昭和28年12月28日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第三条第一項または同条第五項の特定の号に該当するものとして定められた農地買収計画を、訴願裁決で右農地は右特定の号にはあたらないが、同項の他の号に該当するものとして維持することはゆるされない。