土地の主たる使用目的が採草にある以上、松樹直径三、四寸位のものが五、六尺ないし八尺おき位に生立している事実は、その土地を牧野と解するに妨げとなるものではない。
松樹の生立している土地を牧野と解することの当否
自作農創設特別措置法30条1号
判旨
自作農創設特別措置法にいう牧野(採草の目的に供される土地)に該当するか否かは、行政通牒の基準にかかわらず、当該土地が主として採草の目的で使用収益されているかという客観的な実態によって判断される。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法における「採草の目的に供される土地」(牧野)の意義、および行政通牒が示す基準(樹冠疏密度等)が牧野の認定を拘束するか。
規範
ある土地が「採草の目的に供される土地」(牧野)に該当するかは、単なる所有者の主観的意図や、行政庁が事務処理上の標準として示した通牒(樹冠疏密度の数値等)によって形式的に決まるものではない。当該土地が「主として採草の目的で使用収益されている」という客観的事実に基づき、その主要な使用目的の実態に応じて判断すべきである。
重要事実
被上告人は大正8年に本件土地の払い下げを受け、以来、堆肥の材料となる生草の採取地として使用してきた。その間、松樹を伐採し、その跡に松苗を植えて採草地として再生させ、現在も採草地として利用を継続していた。一方、本件土地には現在、直径3〜4寸程度の松が5〜8尺間隔で生立しており、行政庁は通牒に基づき、樹冠疏密度等の観点から本件土地を「林地(未墾地)」とみなして買収処分を行った。
事件番号: 昭和31(オ)414 / 裁判年月日: 昭和35年4月8日 / 結論: 棄却
旧森林法による施業案を編成し主務庁の認可を受け戦時中のため実施に至らなかつたが、右施業案の実施上枢要な地位を占める土地であつて、これを失うことが施業案全体に重大な影響があり、施業案の目的完遂を困難らしめるような土地は(本判決および原判決参照)、採草の用に供されていても、これを自作農創設特別措置法にいう牧野に該当しないも…
あてはめ
本件土地は、長年にわたり主として堆肥用の生草採取を目的に使用収益されてきた客観的事実がある。松苗の植栽も採草地としての維持を目的として行われており、現在松が一定の間隔で生立している事実は、主たる使用目的が採草にある以上、牧野と解することを妨げない。また、農林次官通牒は事務処理の標準を示すものに過ぎず法令の効力を持たないため、通牒上の数値基準を満たす場合であっても、実態として「採草の目的に供される土地」と認められる以上、これを未墾地(林地)と解することはできない。
結論
本件土地は牧野に該当するため、これを未墾地として行った買収処分は違法であり、取り消されるべきである。
実務上の射程
行政基準(通牒)と法の解釈が対立する場合に、実態に即した客観的な使用目的を優先する判断枠組み。土地の属性認定において、主観的意図よりも継続的な利用実態を重視する際の論拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(オ)148 / 裁判年月日: 昭和32年2月21日 / 結論: 棄却
空地であつても、耕作者が自作農創設特別措置法によつて買い受けた農地のため、わら、堆肥その他肥料桶等の置場、農作物の乾燥場として一〇年にわたり使用して来、使用不可能になればその農業経営が挫折するおそれのある場合は、その土地は自作農創設特別措置法第一五条第一項第一号の農業用施設と解するを相当とする。