判旨
農地法上の農地にあたるか否かは、客観的な現況によって判断されるべきであり、植林により山林としての形態・実質を備えるに至った土地は、仮に下草刈り等の管理が行われていたとしても農地には当たらない。
問題の所在(論点)
農地法上の「農地」の定義に関し、植林により山林の実質を備えるに至った土地について、下草刈り等の管理行為や当事者の過去の認識がその判断に影響を及ぼすか、すなわち農地性の判断基準が問題となる。
規範
土地が農地法上の「農地」(同法2条1項)に該当するか否かは、土地の客観的な事実状態によって決定されるべきである。具体的には、植林等が行われ、山林としての形態および実質を備えるに至った場合には、もはや農地としての性質を失ったものと解するのが相当である。
重要事実
本件土地は、当初は農地としての性質を有していた可能性があるが、その後植林が行われた。原審の認定によれば、当該土地は植林によって山林と同じ形態および実質を備える状態に至っていた。これに対し、上告人は、下草刈りや虫害防止の措置が講じられていたことや、被上告人がかつて農地として買収を求めていた事実を挙げ、依然として農地であると主張した。
あてはめ
本件土地は、植林によって既に山林としての形態・実質を備えるに至っている。たとえ下草刈りや虫害防止といった管理が行われていたとしても、それは山林の維持管理行為としても行われ得るものであり、直ちに農地性を基礎付けるものではない。また、被上告人が過去に農地として買収を求めたという主観的事情や過去の経緯があったとしても、現況が山林の実質を備えている以上、客観的な状態に基づく判断は左右されない。
結論
本件土地は山林としての実質を備えており、農地には該当しない。したがって、農地であることを前提とする上告人の主張は棄却されるべきである。
実務上の射程
農地性の判断について「現況主義」を採ることを示した。登記簿上の地目や当事者の主観、過去の利用状況にかかわらず、土地の物理的・客観的な実態を重視する実務慣行を裏付ける判決である。答案上は、農地法上の許可の要否が争点となる場面で、土地の現況を認定する際の規範として活用できる。
事件番号: 昭和25(オ)220 / 裁判年月日: 昭和27年1月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法附則第二項によつて買収計画が定められ、その後右附則第二項が削除され、同法第六条の二ないし五が加えられた場合において、裁判所が買収計画の当否を判断するについては、附則第二項によらなければならない。
事件番号: 昭和27(オ)855 / 裁判年月日: 昭和28年12月25日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第五条第五号により「近く土地使用の目的を変更することを相当とする農地」として指定されていない農地であつても、右の場合に該当するときは、これを買収することは違法である。