判旨
自作農創設特別措置法3条5項2号にいう「耕作の業務に従事する者」に該当するか否かは、契約の主眼が労務の提供にあるか否かによって判断すべきであり、固定給に加え収益の歩合を支給される者であっても、典型的な使用人に準ずるものとして同号の者には当たらない。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法3条5項2号に規定される「耕作の業務に従事する者」の意義。特に、固定給に加えて収益の歩合給を受ける者が、同号の対象外となる「使用人」に含まれるか否か。
規範
自作農創設特別措置法3条5項2号に規定される「耕作の業務に従事する者」には、自作農の耕作を補助する使用人は含まれない。ここでいう使用人とは、定期の給料を受ける典型的な者に限られず、給料のほかに耕作実績に応じた一定歩合の利得供与を受ける者であっても、契約の主眼が労務の提供に置かれている場合にはこれに準ずる使用人と解するのが相当である。
重要事実
上告人は、昭和22年3月、Dとの間で本件自作地を耕作させる契約を締結した。その内容は、(1)Dに対し毎月500円の給料を支給すること、(2)種苗や肥料の購入費用は上告人が負担すること、(3)収穫物は上告人が取得し、収支計算上の利益の10分の6をDに交付すること、というものであった。Dは当該契約に基づき2年間にわたり耕作に従事したが、原審はDを「耕作の業務に従事する者」と認定したため、上告人が解釈の誤りを主張して上告した。
あてはめ
Dと上告人の契約内容をみると、月額500円の固定給が支払われ、生産資材の費用も上告人が負担しており、収穫物の所有権も一旦上告人に帰属している。利益の6割を交付する定めがあるものの、契約の主眼はDによる労務の提供にあると認められる。このような形態は、典型的な使用人と同様の性質を有しており、「耕作の業務に従事する者」ではなく、単なる使用人に準ずるものと評価すべきである。原審は、契約の経緯や収支計算の実行状況等の審理を尽くさずに、直ちにDを同号の者と断定しており、法の解釈を誤っている。
結論
固定給のほかに収益の歩合を受ける者であっても、労務提供が契約の主眼である限り、同法3条5項2号の「耕作の業務に従事する者」には当たらない。原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
本判決は、農地の買収・売渡等における権利者の認定において、実質的な経営主体系か、単なる労務提供者(使用人)かを区別する基準を示したものである。答案上は、文言の形式的解釈にとらわれず、「契約の主眼が労務提供にあるか」という実質的要素から「使用人」の範囲を拡張し、法令の適用対象を限定する論理として活用できる。
事件番号: 昭和31(オ)48 / 裁判年月日: 昭和33年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法2条2項にいう「耕作の業務を営む」とは、営利の目的を必要とせず、自家用農産物を栽培する場合も含まれる。 第1 事案の概要:上告人は本件農地の所有者であったが、訴外Dが上告人から本件農地を借り受けて耕作していた。DおよびEは、販売目的ではなく自家用農産物の栽培を目的として本件農地…
事件番号: 昭和28(オ)1358 / 裁判年月日: 昭和30年7月15日 / 結論: 棄却
農地所有者間で交換的に相手方所有農地を耕作している場合、右農地は小作地である。
事件番号: 昭和26(オ)559 / 裁判年月日: 昭和28年7月7日 / 結論: 破棄差戻
副業として農業を営むにすぎない者の申請に基き、その者が賃借権を有する宅地建物をいわゆる附帯買収する買収計画は、特別の事情のないかぎり違法である。