一 自作農創設特別措置法第三条第一項第一号の小作地はどこの市町村の区域内にも住所を有しない者の所有する小作地を含む。 二 自作農創設特別措置法第六条ノ二第二項第四号にいわゆる「当該小作地について耕作の業務を営むもの」は、将来の業務を営むことのあるべきものを含まない。
一 自作農創設特別措置法第三条第一項第一号の小作地はどこの市町村にも住所を有しない者の所有する小作地を含むか 二 自作農創設特別措置法第六条ノ二第二項第四号にいわゆる「当該小作について耕作の業務を営むもの」は将来耕作の業務を営むことのあるべき者を含むか
自作農創設特別措置法3条1項,自作農創設特別措置法6条の2第2項4号
判旨
自作農創設特別措置法に基づく買収計画から除外される「当該小作地について耕作の業務を営むもの」とは、買収計画を立てる当時において、現実にその土地で耕作の業務を営む者を指す。したがって、将来耕作する可能性がある者までは含まれないと解するのが相当である。
問題の所在(論点)
自作農創設特別措置法6条の2第2項4号に規定される買収除外事由である「当該小作地について耕作の業務を営むもの」の意義について、将来耕作に従事する予定の者まで含まれるか。
規範
自作農創設特別措置法3条1項1号にいう「所有者がその住所のある市町村の区域外において所有する小作地」とは、土地所在市町村に住所を有しない一切の者の小作地を指し、所有者が日本国外に居住する場合でも適用される。また、同法6条の2第2項4号の買収除外要件としての「当該小作地について耕作の業務を営むもの」とは、買収計画策定時に現実に耕作の業務を営んでいる者をいい、将来耕作を行う予定の者は含まれない。
重要事実
上告人は、北海道内に存在する小作地を所有していた。当時、上告人の住所は当該市町村外(または日本国外)にあり、不在地主に該当する状況であった。農地買収計画が策定された際、上告人は同法6条の2第2項4号に基づき、自身が耕作を行う者であることを理由に買収の除外を主張したが、買収計画策定時点では現実に耕作を行っていなかった。上告人は、将来耕作に従事する可能性がある者も同号に含まれるべきだと主張して争った。
事件番号: 昭和26(オ)125 / 裁判年月日: 昭和32年7月25日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法3条5項2号にいう「耕作の業務に従事する者」に該当するか否かは、契約の主眼が労務の提供にあるか否かによって判断すべきであり、固定給に加え収益の歩合を支給される者であっても、典型的な使用人に準ずるものとして同号の者には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和22年3月、Dと…
あてはめ
同法の目的は、農地改革により土地所有者の生活状態が小作人より著しく低下することを防ぐ点にある。本件において、上告人は買収計画策定当時、現実に当該農地を耕作していた事実は認められない。将来において耕作を行う可能性があるとしても、それは法が保護の対象とする「現に耕作に従事している者の生活維持」という目的に直接合致するものではない。したがって、現実の耕作実態がない以上、上告人は同号にいう耕作の業務を営むものには該当しないと評価される。
結論
「耕作の業務を営むもの」とは、買収計画策定時に現実に耕作している者を指し、将来の耕作者は含まれない。したがって、買収計画は適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
農地改革という特殊な歴史的背景を持つ法制下の判例だが、行政処分や権利制限の除外要件における「現況主義」の考え方を示す。法文上の現在形(〜している者)の解釈において、将来の主観的意図ではなく、客観的な事実状態(現実の耕作)を重視すべき場面で参照しうる。
事件番号: 昭和27(オ)357 / 裁判年月日: 昭和28年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法(以下「自創法」)による不在地主の農地買収規定は、居住移転の自由を侵害せず、地主間の区別取扱いも憲法に違反しない。また、同法に基づく買収価格の定めも憲法29条3項に反しない。 第1 事案の概要:上告人は、自創法に基づき不在地主として農地を買収されたが、食糧供出の割当や肥料配給が…
事件番号: 昭和27(オ)628 / 裁判年月日: 昭和32年2月21日 / 結論: 棄却
農地賃貸借契約上の賃借人が老齢のため、昭和19年以来同居の子に農耕は勿論主食の供出、世帯の切廻し等一切を任せ、自分は多忙の折子の手伝をする程度であつて、この事実を地主も了承していた場合は、右の子は自作農創設特別措置法第六条の二にいわゆる「小作地に就き耕作の業務を営んでいた小作農」にあたる。
事件番号: 昭和24(オ)155 / 裁判年月日: 昭和28年5月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法2条2項にいう「小作地」とは、正権原に基づく耕作者の地位を安定させる趣旨から、無権利者が耕作する土地はこれに含まれない。賃貸借が合意解除され消滅した後に、当初から賃貸人の承諾なく耕作していた転借人が占有する土地は、同法の小作地に該当しない。 第1 事案の概要:被上告人(賃貸人)…