判旨
自作農創設特別措置法2条2項にいう「小作地」とは、正権原に基づく耕作者の地位を安定させる趣旨から、無権利者が耕作する土地はこれに含まれない。賃貸借が合意解除され消滅した後に、当初から賃貸人の承諾なく耕作していた転借人が占有する土地は、同法の小作地に該当しない。
問題の所在(論点)
農地の賃貸借関係が合意解除により消滅した場合において、賃貸人の承諾なく耕作していた転借人の占有する土地が、自作農創設特別措置法2条2項にいう「小作地」に該当するか。
規範
自作農創設特別措置法2条2項の「小作地」とは、耕作者が賃借権、使用貸借による権利、永小作権、地上権または質権といった正当な権原に基づき耕作の業務に供している農地を指す。したがって、正権原を有しない無権利者が耕作している土地は、同法にいう「小作地」には該当しないと解すべきである。
重要事実
被上告人(賃貸人)と訴外D(賃借人)との間の農地賃貸借契約は、昭和20年9月ないし10月頃までに合意解除により終了していた。上告人は、当初から賃貸人(被上告人)の承諾を得ることなく当該農地を転貸により耕作していたが、基本となる賃貸借関係が消滅した後も耕作を継続し、当該土地が「小作地」に該当することを前提とした主張(自作農創設特別措置法に基づく地位等)をなした。
あてはめ
本件において、基本となる賃貸借関係は合意解除によって有効に消滅している。上告人は当初から賃貸人の許諾なく耕作していた転借人等にすぎず、賃貸借の終了により占有を正当化する権原を喪失している。同法は正当な権原に基づく耕作者の地位安定を目的とするものであるから、権原を欠く上告人の耕作地は、同法2条2項の定義する「小作地」の要件を充足しない。
結論
本件耕作地は同法にいう小作地に該当しない。したがって、原判決の判断は正当であり、上告を棄却する。
事件番号: 昭和28(オ)1358 / 裁判年月日: 昭和30年7月15日 / 結論: 棄却
農地所有者間で交換的に相手方所有農地を耕作している場合、右農地は小作地である。
実務上の射程
行政法や民事特別法の解釈において、条文上の定義(本件では小作地の定義)を法の趣旨(正権原に基づく地位の安定)から限定的に解釈する際の手法として参考になる。不法占拠者や承諾なき転借人が、農地法関連の保護規定を援用することを否定する論拠として機能する。
事件番号: 昭和25(オ)25 / 裁判年月日: 昭和28年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】農地の合意解約が一応適法に成立した場合であっても、その内容が正当なものとは認められない限り、当該合意解約を理由に農地の買収計画を排除することはできない。農地の集中を生じない場合であっても、適法な合意解約の存在のみによって遡及的な買収計画の策定が制限されるものではない。 第1 事案の概要:上告人と小…
事件番号: 昭和30(オ)718 / 裁判年月日: 昭和33年3月7日 / 結論: 棄却
一 農地所有者の地位、職業、子の教育関係等を考慮すれば右所有者が村内に住所を有するに至るであろう時期が七年余の将来より更におくれるかも知れない状況にある場合は、その地主は自作農創設特別措置法第四条第三項にいわゆる「当該農地のある市町村の区域内に住所を有するに至る見込のあるもの」に該当しない。 二 農地賃貸借について農地…
事件番号: 昭和31(オ)48 / 裁判年月日: 昭和33年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法2条2項にいう「耕作の業務を営む」とは、営利の目的を必要とせず、自家用農産物を栽培する場合も含まれる。 第1 事案の概要:上告人は本件農地の所有者であったが、訴外Dが上告人から本件農地を借り受けて耕作していた。DおよびEは、販売目的ではなく自家用農産物の栽培を目的として本件農地…
事件番号: 昭和24(オ)322 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: 棄却
自作農創設特別措置法第一五条第一項第二号により宅地を買収するについては、その宅地が売渡農地の附属地として利用せられて来たものであることを要しないが、売渡農地の経営に必要な宅地であることを要する。