判旨
地方議会議員の除名議決無効確認の訴えは、議員の資格を有することの確認を求めるものである。そのため、除名議決時の議員が全員その資格を失った場合には、もはや訴えの利益が認められない。
問題の所在(論点)
地方議会議員が除名処分の無効確認を求めている最中に、議員としての任期満了等により当該資格を失った場合、なお除名議決の無効確認を求める訴えの利益は認められるか。
規範
行政訴訟(確認訴訟)において、訴えの利益が認められるためには、当該確認を求めることによって現在の法的地位の不安や危険を解消できる必要があり、現在の権利・法律関係の存否を争う実効性が失われた場合には訴えの利益は消滅する。
重要事実
上告人は町議会議員の除名議決の無効確認を求めて出訴した。しかし、当該訴訟の継続中に、本件除名の議決当時における町議会議員の全員がその議員資格を失うに至った(任期満了等の事情が推認されるが詳細は判決文からは不明)。
あてはめ
除名議決無効確認の訴えの本質は、現在において当該議員が町議会議員の資格を有することの確認を求める趣旨と解される。本件では、仮に除名議決が無効であったとしても、除名当時の議員が既に全員その資格を失っている以上、上告人が現在議員でないことは明らかである。したがって、無効確認によって回復すべき現在の法的地位が存在しない。
結論
本件無効確認の訴えについて訴えの利益は消滅したといえるため、上告を棄却すべきである。
実務上の射程
地方議会議員の地位確認に関するリーディングケース。議員の任期満了により訴えの利益が消滅するという原則を示す一方、近時の判例(最判令2.11.25)では出席停止処分について名誉等の観点から訴えの利益を広く認める傾向があるため、本判例の射程には注意を要する。
事件番号: 昭和51(オ)116 / 裁判年月日: 昭和51年12月21日 / 結論: 棄却
建設協会に対する除名決議無効確認訴訟の係属中に、被除名者である上告人が破産宣告を受けて建設業者でなくなつたときは、訴の利益を欠くものである。
事件番号: 昭和27(オ)4 / 裁判年月日: 昭和29年10月7日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】役員選任決議の無効および役員の地位不存在の確認を求める訴えにおいて、対象となる役員が既に退任し、その後の役員でないことが明白である場合には、確認の利益を欠く。 第1 事案の概要:上告人は、被上告会議所が昭和25年6月28日の議員総会で行った役員選任決議が無効であること、および特定の個人が副会頭の地…
事件番号: 昭和25(オ)200 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
昭和二三年法律第一七九号(地方自治法の一部を改正する法律)附則第二条第五項の都道府県議会の議決の取消を求める訴は不敵法である。
事件番号: 昭和34(オ)497 / 裁判年月日: 昭和35年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】村議会議長の選挙における決定無効確認の訴えについて、議員の任期満了により議員たる資格を喪失した場合には、もはや当該訴えを維持する訴えの利益が失われる。 第1 事案の概要:上告人は、昭和31年3月17日に施行された被上告村議会の議長選挙において、Dを当選者と定めた議会の決定を不服とし、異議を却下する…
事件番号: 昭和30(オ)430 / 裁判年月日: 昭和35年3月9日 / 結論: その他
地方公共団体の議会議員の任期が満了したときは、除名処分の取消を求める訴の利益は失われる。