建設協会に対する除名決議無効確認訴訟の係属中に、被除名者である上告人が破産宣告を受けて建設業者でなくなつたときは、訴の利益を欠くものである。
除名決議無効確認訴訟が係属中に訴の利益を欠くに至つたとされた事例
民訴法第2編第1章
判旨
除名決議無効確認訴訟の係属中に、原告が資格喪失により会員たる地位を回復する余地がなくなった場合、当該確認の訴えは訴えの利益を欠く。また、過去の損害賠償請求のために無効確認を求める必要性も認められない。
問題の所在(論点)
除名決議無効確認訴訟の係属中に、原告が会員資格そのものを欠くに至った場合、当該訴訟の「訴えの利益」が維持されるか。
規範
確認の訴えが適法であるためには、即時確定の利益が認められる必要がある。団体からの除名決議の無効確認を求める訴訟において、係属中に原告が当該団体の会員資格を当然に欠く事態が生じた場合には、決議の無効を確認しても会員たる地位の回復という目的を達し得ないため、訴えの利益は失われる。また、損害賠償請求等の他手段のための前提として確認を求めることは、特段の事情のない限り認められない。
重要事実
1. 建設業者である上告人は、被上告協会から除名処分を受け、その無効確認を求める訴えを提起した。 2. 訴訟係属中に、上告人は破産宣告を受けた。 3. 建設業法上、破産者は建設業者たり得ず、また被上告協会の定款・規則等に照らし、上告人は同協会の会員たる資格を有しない状態となった。
事件番号: 昭和26(オ)104 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地方議会議員の除名議決無効確認の訴えは、議員の資格を有することの確認を求めるものである。そのため、除名議決時の議員が全員その資格を失った場合には、もはや訴えの利益が認められない。 第1 事案の概要:上告人は町議会議員の除名議決の無効確認を求めて出訴した。しかし、当該訴訟の継続中に、本件除名の議決当…
あてはめ
上告人は、訴訟中に破産宣告を受けたことで建設業者ではなくなり、被上告協会の会員資格を喪失した。この事実関係の下では、仮に本件除名決議が無効であると確認されたとしても、上告人が会員たる地位を回復する余地はない。したがって、会員としての法的地位の不安を解消する「即時確定の利益」は存在しない。また、除名決議により被った損害の賠償を求めるとしても、それは別途賠償請求の中で主張すれば足りることであり、あえて独立の訴えで決議の無効確認を求める必要性も認められない。
結論
本件訴えは、上告人が会員資格を回復する法的利益を欠くに至ったため、訴えの利益を欠き不適法である。
実務上の射程
訴えの利益の消滅に関する典型的判例である。会員資格の喪失(破産、死亡、定年退職等)によって地位回復が不可能な場合、原則として訴えの利益は失われるが、名誉回復や金銭的利益が密接に関連し、確認の利益を肯定すべき例外的事例(実務上の争点)との切り分けに注意を要する。
事件番号: 昭和27(オ)4 / 裁判年月日: 昭和29年10月7日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】役員選任決議の無効および役員の地位不存在の確認を求める訴えにおいて、対象となる役員が既に退任し、その後の役員でないことが明白である場合には、確認の利益を欠く。 第1 事案の概要:上告人は、被上告会議所が昭和25年6月28日の議員総会で行った役員選任決議が無効であること、および特定の個人が副会頭の地…
事件番号: 昭和30(オ)430 / 裁判年月日: 昭和35年3月9日 / 結論: その他
地方公共団体の議会議員の任期が満了したときは、除名処分の取消を求める訴の利益は失われる。
事件番号: 昭和40(オ)823 / 裁判年月日: 昭和44年5月2日 / 結論: 棄却
労働組合の推薦する特定候補以外の立候補者を支持する組合員の政治活動(選挙運動)を一般的・包括的に制限禁止し、これに違反する行動を行なつた組合員は統制違反として処分されるべき旨を決議した組合大会決議は、労働組合の統制権の限界を超えるものとして無効である。(福岡高裁昭和三九年(ネ)第三二八号同四〇年四月二二日判決、高民集一…
事件番号: 昭和31(オ)974 / 裁判年月日: 昭和33年10月3日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】土地改良区の総代解職を目的とする訴訟において、対象となる総代が任期満了により退職した場合には、勝訴判決を得ても解職請求を行う余地がなくなる。このため、当該判決を求める訴えの利益(実益)は失われると解すべきである。 第1 事案の概要:被上告人(原告)らは、土地改良区の総代を解職するため、上告人(被告…