判旨
村議会議長の選挙における決定無効確認の訴えについて、議員の任期満了により議員たる資格を喪失した場合には、もはや当該訴えを維持する訴えの利益が失われる。
問題の所在(論点)
村議会議長選挙の効力を争う訴訟において、訴訟継続中に議員の任期が満了し、当事者が議員としての資格を喪失した場合に、なお当該訴えを維持する訴えの利益が認められるか。
規範
行政訴訟における訴えの利益は、当該処分を取り消し、または無効を確認することによって、原告が受けるべき法律上の利益が存続していることを要する。処分に関連する資格や地位が、時の経過や制度上の事由(任期満了等)により当然に失われた場合には、特段の事情がない限り、訴えの利益は消滅する。
重要事実
上告人は、昭和31年3月17日に施行された被上告村議会の議長選挙において、Dを当選者と定めた議会の決定を不服とし、異議を却下する旨の決定の無効確認を求めて出訴した。しかし、上告審係属中の昭和35年3月9日、当該議会議員の任期が満了し、上告人および当選者Dは共に議員たる資格を喪失した。
あてはめ
本件において、上告人が争っているのは議長選挙における決定の効力であるが、その前提となるのは上告人および相手方Dが議員の地位にあることである。記録によれば、議員任期の満了により両名は既に議員たる資格を喪失している。議長の地位は議員であることを前提とするものであるから、議員資格を失った以上、選挙の無効を確認して議長選出のやり直し等を求める実益は消滅したといえる。
結論
上告人は本件訴えの利益を有しないため、請求を排斥した原判決は正当であり、上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
選挙無効訴訟や地位確認訴訟において、任期満了が訴えの利益に及ぼす影響を示す典型的な判例である。答案上は、行政事件訴訟法9条1項かっこ書等の「法律上の利益」の有無を検討する際、事情変更による訴えの利益の消滅という文脈で活用できる。
事件番号: 昭和33(オ)118 / 裁判年月日: 昭和35年12月7日 / 結論: 棄却
村長解職賛否投票の効力に関する訴は、右村が吸収合併によつてなくなつた後においては、その利益がなくなつたものと解すべきである。
事件番号: 昭和31(オ)557 / 裁判年月日: 昭和31年10月23日 / 結論: 棄却
村長不信任議決の無効確認を求める訴は、新村長が選挙せられその効力が確定した後は、その利益を失う。
事件番号: 昭和26(オ)197 / 裁判年月日: 昭和30年3月31日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】解職請求に対する投票の効力に関する裁決取消訴訟において、訴訟継続中に当該公務員の任期が満了し、その職を失った場合には、もはや裁決の取消し等を求める法律上の利益は失われる。 第1 事案の概要:村長の職にあった被上告人に対し、解職請求(リコール)がなされ、これに伴う投票が実施された。上告人(選挙管理委…