村長解職賛否投票の効力に関する訴訟係属中、村長の任期満了としたときは、訴の利益は失われる。
村長解職賛否投票の効力に関する訴訟係属中の村長の任期満了と訴の利益
地方自治法(昭和25年法律101号による改正前のもの)85条,地方自治法(昭和25年法律101号による改正前のもの)66条4項
判旨
村長解職投票に関する裁決取消訴訟において、当該村長の任期が満了し既に退職している場合には、訴えの利益が消滅し、訴えは却下されるべきである。
問題の所在(論点)
村長の解職投票に関する裁決の取消しを求める訴訟において、訴訟継続中に村長の任期が満了し、当該村長が既に退職している場合、訴えの利益(狭義の訴えの利益)は認められるか。
規範
行政処分等の取消しを求める訴訟において、訴えの利益が認められるためには、当該処分の効力を争うことによって回復されるべき法的利益が存続していなければならない。処分後に生じた事情の変化等により、処分の効力を取り消す実益が失われた場合には、訴えの利益を欠くものとして不適法となる。
重要事実
上告人は、昭和22年4月6日の公選により茨城県猿島郡a村の村長に就任した。その後、昭和24年5月14日に上告人に対する解職投票(リコール)が行われ、上告人はその裁決の取消しを求めて提訴した。しかし、訴訟継続中に村長の任期(選挙の日から起算して4年)が満了したため、上告人は村長の地位を既に失っていた。
事件番号: 昭和26(オ)197 / 裁判年月日: 昭和30年3月31日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】解職請求に対する投票の効力に関する裁決取消訴訟において、訴訟継続中に当該公務員の任期が満了し、その職を失った場合には、もはや裁決の取消し等を求める法律上の利益は失われる。 第1 事案の概要:村長の職にあった被上告人に対し、解職請求(リコール)がなされ、これに伴う投票が実施された。上告人(選挙管理委…
あてはめ
本件において、上告人は昭和22年の公選により就任した村長であり、当時の地方自治法の規定によれば、その任期は選挙の日から4年をもって満了する。事実関係によれば、判決時点ですでにこの任期は経過しており、上告人は現在において既に村長の職を退いている。村長の地位回復を目的とする本件裁決取消訴訟において、既に任期満了によりその地位を喪失している以上、裁決の取消しを求める正当な利益は失われたといえる。
結論
村長の任期満了により退職している場合、解職投票に関する裁決の取消しを求める訴訟は、訴えの利益を失い、却下されるべきである。
実務上の射程
本判決は、公職者の地位に関する争訟において、任期満了が訴えの利益に与える影響を示した典型例である。司法試験においては、行政事件訴訟法9条1項なお書(回復すべき法律上の利益)の解釈において、処分後に生じた事情変化(任期満了、死亡、施設の完成等)により訴えの利益が消滅するパターンの基礎判例として位置づけられる。実務上は、任期満了後もなお回復すべき附随的利益(給与の遡及支払等)がある場合には例外的に訴えの利益が認められ得るが、本判決はそのような特段の事情がない原則的場面を扱ったものと理解すべきである。
事件番号: 昭和33(オ)118 / 裁判年月日: 昭和35年12月7日 / 結論: 棄却
村長解職賛否投票の効力に関する訴は、右村が吸収合併によつてなくなつた後においては、その利益がなくなつたものと解すべきである。
事件番号: 昭和26(オ)149 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分等の効力を争う訴えにおいて、対象となる公職者の任期が満了した場合には、当該処分の効力を争う法律上の利益(訴えの利益)は失われる。 第1 事案の概要:上告人は、昭和25年1月15日に施行された石川県鳳至郡a町長の解職投票(リコール)の結果等の効力に関し、訴願裁決の取消しおよび解職投票の無効を…
事件番号: 昭和26(オ)420 / 裁判年月日: 昭和26年12月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】選挙による公務員の任期が満了した場合には、当選の効力に関する訴願裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅する。また、異議申立てがないにもかかわらず、選挙日から長期間経過後に選挙管理委員会が当選無効を決定することは権限を逸脱した無効な処分である。 第1 事案の概要:昭和22年4月の村長選挙において、選挙…
事件番号: 昭和31(オ)557 / 裁判年月日: 昭和31年10月23日 / 結論: 棄却
村長不信任議決の無効確認を求める訴は、新村長が選挙せられその効力が確定した後は、その利益を失う。