判旨
事実認定の矛盾を理由とする判決理由の齟齬の主張に対し、原審が認定した事実は相互に矛盾せず同時に認定可能であるとして、上告を棄却した判例である。
問題の所在(論点)
原審が認定した複数の事実関係が相互に矛盾(判決理由の齟齬)しているか否か、およびそれが上告理由となるか。
規範
事実審が適法に認定した複数の事実は、それらが相互に矛盾せず、同時に成立し得るものである限り、これらを一括して認定しても判決理由に齟齬を来たす違法(民事訴訟法第312条第2項第6号参照)は認められない。
重要事実
上告人は、原審が認定した各事実が相互に相容れないものであると主張し、そのような矛盾する事実を同時に認定した原判決には理由の齟齬があるとして上告を申し立てた。なお、具体的な事件の背景事実は、提供された判決文からは不明である。
あてはめ
最高裁は、原審が証拠に基づいて認定した諸事実は、必ずしも相容れないものではないと判断した。したがって、これらの事実を同時に認定したとしても、判決の論理的一貫性を欠く「理由の齟齬」があるとはいえないと評価した。結局、上告人の主張は事実審の適法な事実認定を非難するものにすぎないとされた。
結論
原判決に理由の齟齬等の違法は認められないため、上告は棄却される。
実務上の射程
民事訴訟における「理由の不備・齟齬」を争う際の限界を示す。事実認定の矛盾を主張して上告を維持するには、認定された事実同士が論理的に排斥し合う関係にあることを具体的に指摘する必要がある。本件のように事実が並列可能であれば、理由の齟齬の主張は排斥される。
事件番号: 昭和25(オ)376 / 裁判年月日: 昭和28年10月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の自白の取消しは、自白した事実が真実に反し、かつ、その自白が錯誤に基づいたものであることが証明された場合には、有効に認められる。 第1 事案の概要:上告人は、原審が被上告人による自白の取消しを認め、自白と異なる事実を基礎として裁判を行ったことは、当事者の主張しない事実に基づいたものであり不当…
事件番号: 昭和27(オ)1125 / 裁判年月日: 昭和29年2月5日 / 結論: 棄却
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甲乙丙三棟の建物を所有する債務者が、未登記の甲建物の所有権保存登記をなすべく司法書士に委任したところ、甲建物を主たる建物、乙丙建物を付属建物と表示する登記がなされ、次いで、債権者の手により甲乙丙建物を目的物とする抵当権設定登記が経由されたのに対し、抵当権設定契約の不存在を理由として右抵当権設定登記の抹消登記手続を請求す…
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