判旨
裁判上の自白の取消しは、自白した事実が真実に反し、かつ、その自白が錯誤に基づいたものであることが証明された場合には、有効に認められる。
問題の所在(論点)
当事者が一度行った裁判上の自白を、後の手続で取り消す(撤回する)ための要件が問題となる。
規範
裁判上の自白について、自白をした当事者がこれを撤回するためには、原則として、自白した事実が真実に反することの証明、および、その自白が錯誤に基因してなされたことの証明が必要である。
重要事実
上告人は、原審が被上告人による自白の取消しを認め、自白と異なる事実を基礎として裁判を行ったことは、当事者の主張しない事実に基づいたものであり不当であると主張した。記録上、被上告人は明示的に自白の取消しを行っていた事案である。
あてはめ
被上告人は自白を明らかに取消している。自白した事実が真実に合致しないことの証明がある限り、それは錯誤に基づく自白の取消しとして有効と解される。したがって、自白と異なる事実を基礎として判断した原審の措置に違法はない。
結論
自白内容が真実に反し錯誤に基づくことが証明された以上、自白の取消しは有効であり、裁判所は自白に拘束されず事実認定を行うことができる。
実務上の射程
自白の撤回要件(反真実・錯誤)を示すリーディングケースである。答案上は、弁論主義の第2テーゼ(自白の拘束力)の例外として、撤回を認めるべき場面で本規範を用いる。実務上は、反真実の証明があれば錯誤は推定されるとする運用が一般的である。
事件番号: 昭和36(オ)576 / 裁判年月日: 昭和36年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の自白の撤回は、自白が真実に反し、かつ錯誤に基づくことが証明された場合に限り許される。ただし、自白が真実に反することの証明があるときは、反証がない限り錯誤によるものと事実上推定される。 第1 事案の概要:被上告人(原告)らは、本件山林の譲渡担保契約の内容に関して一定の自白を行っていた。しかし…
事件番号: 昭和25(オ)66 / 裁判年月日: 昭和27年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定の矛盾を理由とする判決理由の齟齬の主張に対し、原審が認定した事実は相互に矛盾せず同時に認定可能であるとして、上告を棄却した判例である。 第1 事案の概要:上告人は、原審が認定した各事実が相互に相容れないものであると主張し、そのような矛盾する事実を同時に認定した原判決には理由の齟齬があるとし…
事件番号: 昭和34(オ)632 / 裁判年月日: 昭和35年9月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の自白の取消しには、自白が真実に反し、かつ錯誤に基づいたものであることの証明を要するが、自白が真実に反することが証明された場合には、特段の事情がない限り、錯誤によるものと推認される。 第1 事案の概要:被上告人(原告)は、本件不動産の所有権に基づき、上告人(被告)らに対して所有権移転登記の抹…
事件番号: 昭和36(オ)420 / 裁判年月日: 昭和37年4月27日 / 結論: 棄却
登記の時に悪意でも、それに先立つ本契約当時に善意であれば、詐害行為は成立しない。
事件番号: 昭和24(オ)336 / 裁判年月日: 昭和27年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠の取捨選択および事実の認定は裁判所の専権に属し、伝聞供述や親族の証言から直ちに事実を認定すべき義務はない。自由心証主義に基づき合理的な範囲で行われた事実認定は、適法である。 第1 事案の概要:上告人(被告)は、本件各家屋が先代の所有であると主張し、証人Dが「家屋は先代のために建てるものと聞いた…