労使双方の合意に基き、就業規則中に「就業規則の改正は労働組合との協議によつて行う」旨定めた場合であつても、特段の事情のないかぎり、その協議を経ないでした右規則の改正を無効とはいえない。
労使双方の合意に基く就業規則の条項に違反し組合との協議を経ないでした就業規則の改正の効力
判旨
仮処分訴訟において、被保全権利の存否につき、証拠資料に基づき疎明(確信に至らない程度の心証)をもって審理判断することは許される。
問題の所在(論点)
仮処分訴訟において、被保全権利の存否やその前提となる複雑な法律関係(組合契約の成否等)について、疎明に基づき審理判断することの可否。
規範
仮処分訴訟の審理においては、被保全権利の存否につき、通常の訴訟における証明までを要せず、疎明に基づき審理判断することが許される。また、被保全権利の存否を判断する上で必要な限度であれば、その前提となる権利帰属や法律関係(組合契約の成否等)についても判断することができ、その際、判決において詳細な認定を尽くさずとも、疎明により判断した結論が示されていれば、直ちに違法とはならない。
重要事実
被上告人らが、上告人に対し、本件建物の占有を解く仮処分を申し立てた事案。原審は、本件建物が元々は民法上の組合財産であったが、その後の経過により被上告人らの共有に帰属したと認定し、被上告人らの被保全権利(所有権)を認めて仮処分を決定した。これに対し上告人は、仮処分訴訟において複雑な共同事業の成否や権利帰属を判断すべきではなく、また原審の認定は不十分であるとして上告した。
あてはめ
仮処分制度は迅速な保全を目的とするため、本案訴訟と同様の厳格な証明は不要であり、疎明資料により判断することで足りる。本件において、原審は被保全権利である建物所有権の帰属を判断するために、その前提となる共同事業(組合)の事実を検討しているが、これは権利の存否を判断するために不可欠な範囲内である。原審が疎明により組合契約の成立と権利の帰属を認めた以上、実務上必要な限度で事実を明らかにすれば足り、詳細な事実認定を欠いているとしても、経験則に反するような不合理な認定とはいえない。
結論
仮処分訴訟において疎明に基づき被保全権利の存否を判断することは許され、必要な限度で権利帰属の前提事実を認定した原審の判断に違法はない。
実務上の射程
民事保全法上の被保全権利の疎明(同法13条2項等)に関する基本原則を示す。複雑な権利関係が絡む事案であっても、保全の必要性がある限り、裁判所は疎明により一応の判断を下すべきであり、本案訴訟を待たずに判断できる範囲を広めに認めている点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和24(オ)169 / 裁判年月日: 昭和25年7月11日 / 結論: 棄却
一 仮処分事件において、債権者主張の事実につき疏明がない場合に、債権者に保証を立てさせて仮処分を命ずるか否かは、裁判所が自由裁量により決しうるところで、常に仮処分を命じなければならないものではない。 二 信託法第三条は、信託の趣旨をもつて財産権を譲渡した場合においても信託の登録又は登記をしなければ、その譲渡の信託なるこ…