判旨
裁判所が証拠の取捨選択や事実認定を行うことは自由裁量に属し、特定の証拠を排斥する理由を判決に明示する必要はない。
問題の所在(論点)
裁判所が証拠を排斥する際、その理由を判決に明示する必要があるか。また、証拠の取捨選択が裁判所の自由裁量に属するか。
規範
証拠の取捨選択および事実の認定は裁判所の自由裁量に属する。裁判所が証拠を排斥する場合であっても、その理由は必ずしも判決に明示することを要しない(自由心証主義の帰結)。
重要事実
上告人は、原判決が証拠の取捨選択および事実認定を行うにあたり、特定の証拠を排斥した理由を明示しなかったことを不服として上告した(具体的な事案の詳細は判決文からは不明)。
あてはめ
原判決における証拠の取捨および事実の認定は、裁判所の自由裁量に基づいて行われたものである。特定の証拠を採用せず排斥したとしても、その理由を具体的に判決文に記載すべき法的義務はない。したがって、理由の明示がないことをもって直ちに違法とすることはできない。
結論
本件上告は棄却される。裁判所が証拠を排斥する理由を明示しなかったとしても、それは裁量の範囲内であり、判決の違法事由にはならない。
実務上の射程
民事訴訟法上の自由心証主義(247条)を確認する極めて簡潔な判例である。答案上は、理由不備(312条2項6号)の主張に対する反論や、裁判所の事実認定権限の広範さを説明する文脈で使用される。ただし、現代の訴訟実務や主要事実に関する判断においては、理由の不備が上告理由となり得る点に注意が必要である。
事件番号: 昭和31(オ)522 / 裁判年月日: 昭和32年9月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実認定は裁判所の裁量権の範囲に属する事項であり、原審がその裁量権の範囲内で行った事実認定を不当として法令違反を主張することは、適法な上告理由にはならない。 第1 事案の概要:上告人らは、原審(控訴審)が行った事実認定には誤りがあり、不当であると主張した。その上で、当該事実認定を前提とする原審の判…
事件番号: 昭和45(オ)607 / 裁判年月日: 昭和46年12月21日 / 結論: 棄却
反証として取調べがなされた証人の証言が争点の判断に影響を及ぼさないものである場合には、判決の理由中において右証言の採否が明らかにされていなくても、右の瑕疵は、判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背に当らない。
事件番号: 昭和33(オ)633 / 裁判年月日: 昭和35年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠の排斥理由を判決文に逐一記載する必要はなく、裁判所の専権に属する証拠の取捨判断及び事実認定に不合理がなければ適法である。 第1 事案の概要:本件土地の売買をめぐり、当事者間の契約が知事の許可を条件とする単純な売買契約であるか、それとも上告人が主張するような譲渡担保であるかが争われた。原審は、提…
事件番号: 昭和37(オ)205 / 裁判年月日: 昭和37年11月20日 / 結論: 棄却
反証として当事者本人尋問の申請があつた場合において、当該申請について尋問事項書が提出されず、当該本人が裁判所の指定した尋問期日に出頭せず、かつ、その不出頭についての正当の事由が疎明されなかつたときは、当該本人が唯一の証拠方法であつても、裁判所は、必ずしも、これを尋問することを要しない。