判旨
地方議会の解散賛否投票の効力を争う訴訟において、当該議会議員の任期が満了した場合には、もはや当該訴訟の判決を求める訴えの利益は失われる。
問題の所在(論点)
地方議会の解散の是非を問う投票の効力を争う訴訟において、議員の任期満了後に当該投票の効力や裁決の適否を争う「訴えの利益」が認められるか。
規範
行政処分等の取消しを求める訴えにおいて、時の経過等によって処分等の効果が消滅し、あるいは処分の対象が消滅したことにより、その取消しによって回復すべき法的利益が失われた場合には、訴えの利益(裁判上の権利保護の必要性)が否定される。
重要事実
上告人は、昭和23年7月7日に実施された石川県江沼郡a町議会の解散賛否投票の効力を争い、当該投票の効力に関する被上告人の訴願裁決の取消しを求めて提訴した。しかし、訴訟の係属中に当該議会議員の任期が満了するに至った。
あてはめ
本件訴訟の目的は議会の解散投票の効力を争う点にあるが、対象となる議会議員の任期は既に満了していることが明白である。任期が満了した以上、仮に投票の効力を否定したとしても、当該議員が職務に復帰したり、議会が存続したりするなどの実効的な法的効果を及ぼす余地はない。したがって、上告人が本訴の判決を求める法的利益は消滅したといえる。
結論
議員の任期が満了したことにより訴えの利益が失われたため、本件上告を棄却し、原判決の結論(訴えの却下等)を維持する。
実務上の射程
行政事件訴訟法9条1項後段の「訴えの利益」に関する基本的判例。選挙や解散投票など「期間・任期」が経過することで実効性が失われる処分については、特段の事情がない限り任期満了をもって訴えの利益が消滅するという、後の「小山町事件」等に連なる判断枠組みを示している。
事件番号: 昭和34(オ)546 / 裁判年月日: 昭和35年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地方議会の解散無効確認を求める訴えにおいて、議員の任期が満了した場合には、当該訴えを維持することによる法的利益(訴えの利益)が消滅する。 第1 事案の概要:上告人(原告)は、町議会の解散が無効であることの確認を求めて提訴した。しかし、本件訴訟の継続中に、当該町議会議員の任期が満了した。原審は、任期…
事件番号: 昭和26(オ)346 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】村議会の解散賛否投票の効力を争う訴えにおいて、当該議会議員の任期が満了した場合には、もはや判決を求める訴えの利益(実益)は失われる。 第1 事案の概要:徳島県美馬郡a村において、昭和25年9月7日に村議会解散の賛否を問う投票が行われた。被上告人は、この投票の効力に関する選挙管理委員会の異議決定およ…
事件番号: 昭和26(オ)91 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】議会解散投票の効力を争う訴訟において、議員の任期が満了した場合には、当該投票の無効を求める訴えの利益(判決を求める実益)は失われる。ただし、解散請求手続に看過し得ない重大な瑕疵がある場合、その後の投票も無効となる。 第1 事案の概要:被上告人である地方自治体の議会解散に関する賛否投票の効力をめぐり…