判旨
地方議会の解散無効確認を求める訴えにおいて、議員の任期が満了した場合には、当該訴えを維持することによる法的利益(訴えの利益)が消滅する。
問題の所在(論点)
地方議会の解散無効確認の訴えにおいて、議員の任期満了後に訴えの利益が認められるか。また、訴えの利益の有無を判断する基準時はいつか。
規範
訴えの利益の有無は、事実審の口頭弁論終結時を基準として判断される。確認の訴えにおいては、対象となる法律関係の存否を確定することが、原告の現在の権利または法的地位に対する危険や不安を除去するために有効かつ適切である場合に限り、訴えの利益が認められる。
重要事実
上告人(原告)は、町議会の解散が無効であることの確認を求めて提訴した。しかし、本件訴訟の継続中に、当該町議会議員の任期が満了した。原審は、任期満了によって解散無効を確認する実益が失われたとして、訴えの利益を否定した。これに対し、上告人は提訴時を基準とすべきであることや、確認の存在だけで給付の満足が得られること等を主張して上告した。
あてはめ
議員の地位は任期に服するものであるところ、任期が満了した以上、仮に解散が無効であったとしても、当該任期に基づく議員としての地位を回復することは不可能である。したがって、解散の無効を確認することによって原告の法的地位に対する不安を除去する実益は失われているといえる。また、訴えの利益は客観的な訴訟条件であるから、提訴時ではなく、裁判の時点(基準時)において存在しなければならない。上告人が主張する「確認の存在だけで給付の満足が得られる」との点は、具体的な法的地位の回復に結びつかない以上、採用できない。
結論
任期満了により、議会解散の無効確認を求める本訴の実益は失われる。よって、訴えの利益がなく、請求は却下されるべきである。
事件番号: 昭和25(オ)175 / 裁判年月日: 昭和30年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地方議会の解散賛否投票の効力を争う訴訟において、当該議会議員の任期が満了した場合には、もはや当該訴訟の判決を求める訴えの利益は失われる。 第1 事案の概要:上告人は、昭和23年7月7日に実施された石川県江沼郡a町議会の解散賛否投票の効力を争い、当該投票の効力に関する被上告人の訴願裁決の取消しを求め…
実務上の射程
行政訴訟における「訴えの利益(狭義の訴えの利益)」の消滅時期に関する重要判例。議員の資格争訟(除名処分等)と同様に、任期満了が訴えの利益を否定する決定的な事実となることを示した。答案上は、時の経過により原告が求める地位回復の法的可能性が失われた際の定型的なあてはめとして利用する。
事件番号: 昭和26(オ)91 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】議会解散投票の効力を争う訴訟において、議員の任期が満了した場合には、当該投票の無効を求める訴えの利益(判決を求める実益)は失われる。ただし、解散請求手続に看過し得ない重大な瑕疵がある場合、その後の投票も無効となる。 第1 事案の概要:被上告人である地方自治体の議会解散に関する賛否投票の効力をめぐり…
事件番号: 昭和26(オ)346 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】村議会の解散賛否投票の効力を争う訴えにおいて、当該議会議員の任期が満了した場合には、もはや判決を求める訴えの利益(実益)は失われる。 第1 事案の概要:徳島県美馬郡a村において、昭和25年9月7日に村議会解散の賛否を問う投票が行われた。被上告人は、この投票の効力に関する選挙管理委員会の異議決定およ…
事件番号: 昭和26(オ)149 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分等の効力を争う訴えにおいて、対象となる公職者の任期が満了した場合には、当該処分の効力を争う法律上の利益(訴えの利益)は失われる。 第1 事案の概要:上告人は、昭和25年1月15日に施行された石川県鳳至郡a町長の解職投票(リコール)の結果等の効力に関し、訴願裁決の取消しおよび解職投票の無効を…
事件番号: 昭和34(オ)497 / 裁判年月日: 昭和35年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】村議会議長の選挙における決定無効確認の訴えについて、議員の任期満了により議員たる資格を喪失した場合には、もはや当該訴えを維持する訴えの利益が失われる。 第1 事案の概要:上告人は、昭和31年3月17日に施行された被上告村議会の議長選挙において、Dを当選者と定めた議会の決定を不服とし、異議を却下する…