判旨
村議会の解散賛否投票の効力を争う訴えにおいて、当該議会議員の任期が満了した場合には、もはや判決を求める訴えの利益(実益)は失われる。
問題の所在(論点)
地方議会の解散投票の効力を争う訴訟の継続中に、対象となる議員の任期が満了した場合、当該投票の取消しを求める訴えの利益が存続するか。
規範
行政処分の取消しを求める訴えにおいて、処分後に生じた事情の変化により、処分の取消しによって回復すべき法律上の利益が消滅した場合には、訴えの利益が失われ、当該訴えは不適法となる。
重要事実
徳島県美馬郡a村において、昭和25年9月7日に村議会解散の賛否を問う投票が行われた。被上告人は、この投票の効力に関する選挙管理委員会の異議決定および上告人のした訴願裁決の取消しを求めて提訴した。しかし、上告審での審理中に、当該解散投票の対象となった村議会議員の任期(昭和26年4月29日満了)が経過した。
あてはめ
本件における取消訴訟の目的は、村議会解散の賛否を問う投票の効力を争うことにある。しかし、当該投票によって解散の成否が左右されるはずであった議会議員の任期は既に満了している。任期満了後は、仮に投票の無効が認められたとしても、それによって当該議員が従前の地位を回復する余地はなく、現在において判決を求める実益(訴えの利益)は失われたものと解される。
結論
議員の任期満了により訴えの利益が消滅したため、被上告人の請求を棄却(実質的に訴えを却下)すべきである。
実務上の射程
選挙や解散投票等の効力を争う訴訟において、議員の任期満了や当該選挙後の次期選挙の施行などにより、地位の回復ややり直しが物理的・法律的に不可能になった場合に、訴えの利益を否定する際のリーディングケースとして活用できる。
事件番号: 昭和25(オ)175 / 裁判年月日: 昭和30年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地方議会の解散賛否投票の効力を争う訴訟において、当該議会議員の任期が満了した場合には、もはや当該訴訟の判決を求める訴えの利益は失われる。 第1 事案の概要:上告人は、昭和23年7月7日に実施された石川県江沼郡a町議会の解散賛否投票の効力を争い、当該投票の効力に関する被上告人の訴願裁決の取消しを求め…
事件番号: 昭和26(オ)91 / 裁判年月日: 昭和26年12月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】議会解散投票の効力を争う訴訟において、議員の任期が満了した場合には、当該投票の無効を求める訴えの利益(判決を求める実益)は失われる。ただし、解散請求手続に看過し得ない重大な瑕疵がある場合、その後の投票も無効となる。 第1 事案の概要:被上告人である地方自治体の議会解散に関する賛否投票の効力をめぐり…
事件番号: 昭和34(オ)546 / 裁判年月日: 昭和35年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地方議会の解散無効確認を求める訴えにおいて、議員の任期が満了した場合には、当該訴えを維持することによる法的利益(訴えの利益)が消滅する。 第1 事案の概要:上告人(原告)は、町議会の解散が無効であることの確認を求めて提訴した。しかし、本件訴訟の継続中に、当該町議会議員の任期が満了した。原審は、任期…
事件番号: 昭和26(オ)197 / 裁判年月日: 昭和30年3月31日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】解職請求に対する投票の効力に関する裁決取消訴訟において、訴訟継続中に当該公務員の任期が満了し、その職を失った場合には、もはや裁決の取消し等を求める法律上の利益は失われる。 第1 事案の概要:村長の職にあった被上告人に対し、解職請求(リコール)がなされ、これに伴う投票が実施された。上告人(選挙管理委…
事件番号: 昭和26(オ)420 / 裁判年月日: 昭和26年12月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】選挙による公務員の任期が満了した場合には、当選の効力に関する訴願裁決の取消しを求める訴えの利益は消滅する。また、異議申立てがないにもかかわらず、選挙日から長期間経過後に選挙管理委員会が当選無効を決定することは権限を逸脱した無効な処分である。 第1 事案の概要:昭和22年4月の村長選挙において、選挙…