町議会議員選挙につき、選挙の効力に関する県選挙管理委員会の裁決の取消および選挙の無効、当選の効力に関する同委員会の裁決の取消および当選人の当選の無効の判決を求める訴の係属中、町長が地方自治法一七八条の規定により町議会を解散したときは、右訴は法律上の利益を失う。
町議会議員選挙につき、選挙の効力または当選の効力に関する訴訟の係属中における町長による町議会の解散と右訴訟の利益
公職選挙法203条,公職選挙法207条,地方自治法178条,行政事件訴訟法5条
判旨
地方議会議員の選挙無効または当選無効を争う訴訟において、当該議会が解散された場合には、訴えをもって当該裁決の取消し等を求める法律上の利益は消滅する。
問題の所在(論点)
町議会議員の選挙および当選の効力を争う訴訟の係属中に、当該議会が解散された場合、訴えの利益(法律上の利益)は失われるか。
規範
行政事件訴訟における「法律上の利益」(行政事件訴訟法9条1項参照)は、当該処分を取り消すことによって回復すべき権利利益が存在することを要する。選挙の効力や当選の効力を争う訴えにおいて、議会の解散により議員の地位が当然に失われる事態が生じた場合、当該選挙の効力等を争う実益は失われ、訴えの利益は消滅すると解される。
重要事実
被上告人らは、昭和41年8月に執行されたa町議会議員選挙に関し、選挙の効力および当選の効力に関する裁決の取消し等を求めて出訴した。しかし、訴訟継続中の昭和44年12月15日、同町の町長は、地方自治法178条の規定に基づき当該町議会を解散した。
事件番号: 昭和25(オ)175 / 裁判年月日: 昭和30年3月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地方議会の解散賛否投票の効力を争う訴訟において、当該議会議員の任期が満了した場合には、もはや当該訴訟の判決を求める訴えの利益は失われる。 第1 事案の概要:上告人は、昭和23年7月7日に実施された石川県江沼郡a町議会の解散賛否投票の効力を争い、当該投票の効力に関する被上告人の訴願裁決の取消しを求め…
あてはめ
本件において、被上告人らが求めているのは町議会議員選挙の裁決取消等であるが、訴訟の途中で町長により当該議会が解散されている。議会の解散により、争いの対象となっている選挙に基づく議員の任期や地位自体が法的に終了したといえる。したがって、裁決を取り消したとしても回復すべき具体的な利益はもはや存在せず、訴えは不適法となったと判断される。
結論
議会の解散により本件訴えはその法律上の利益を失うに至ったものであるから、訴えを却下すべきである。
実務上の射程
選挙訴訟や当選訴訟において、任期満了や議会の解散といった事由が生じた場合に、訴えの利益が消滅するという原則を示す。答案上では、取消訴訟の有効要件である「訴えの利益」の存否が問われる場面で、事情変更による利益消滅の具体例として活用できる。
事件番号: 平成11(行ツ)16 / 裁判年月日: 平成12年11月10日 / 結論: 破棄自判
衆議院議員選挙を無効とする判決を求める訴えは、衆議院の解散によって、その法律上の利益を失う。
事件番号: 昭和34(オ)546 / 裁判年月日: 昭和35年7月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地方議会の解散無効確認を求める訴えにおいて、議員の任期が満了した場合には、当該訴えを維持することによる法的利益(訴えの利益)が消滅する。 第1 事案の概要:上告人(原告)は、町議会の解散が無効であることの確認を求めて提訴した。しかし、本件訴訟の継続中に、当該町議会議員の任期が満了した。原審は、任期…