衆議院小選挙区選出議員の選挙を無効とする判決を求める訴訟は,当該選挙において当選人となった議員が辞職した場合において,その選挙に関し,辞職した議員以外の者が繰上補充又は当選人の更正決定により当選人となる可能性がなく,かつ,上記訴訟の結果選挙の一部のみが無効とされる可能性もないときは,その訴えの利益を失う。
衆議院小選挙区選出議員の選挙において当選人となった議員が辞職したことにより選挙訴訟の訴えの利益が失われる場合
公職選挙法33条の2第7項,公職選挙法95条2項,公職選挙法96条,公職選挙法109条,公職選挙法112条1項,公職選挙法113条1項,公職選挙法204条,公職選挙法205条1項,公職選挙法208条1項
判旨
衆議院小選挙区選出議員の選挙訴訟において、当選人が辞職し、かつ繰上補充等の可能性や選挙の一部無効の余地がない場合には、当該選挙の効力を争う法的利益は失われ、訴えは却下される。
問題の所在(論点)
衆議院小選挙区選出議員の選挙無効訴訟において、当選人が辞職した場合に、当該訴訟の訴えの利益が消滅するか。公職選挙法33条の2第7項の規定や、憲法違反を理由とする訴訟であることが判断に影響するか。
規範
公職選挙法204条の選挙訴訟において、当選した議員が辞職した場合、(1)繰上補充(95条2項、112条1項)や当選人の更正(96条、208条1項)により新たに当選人が定まる可能性がなく、かつ(2)選挙の一部無効(205条)により再選挙が行われ当選人が定まる可能性もないときは、選挙の有効・無効を決する法的意味が失われるため、訴えの利益は消滅する。
重要事実
上告人は、平成15年施行の衆議院議員総選挙(東京都第4区)につき、定数配分規定の違憲等を理由に選挙無効訴訟を提起した。しかし、当該選挙区で当選した議員Dが訴訟係属中に辞職した。当該選挙区においてDと得票数が同じで繰上補充の対象となる者は存在せず、当選訴訟も係属しておらず出訴期間も経過していた。また、東京都第4区は単一の開票区で構成されていた。
あてはめ
まず、本件ではD以外が繰上補充等により当選人となる可能性はない。次に、本件選挙区は1開票区から成るため、選挙の一部のみが無効とされる可能性もない。したがって、本件選挙が有効か無効かにかかわらず補欠選挙が行われることに変わりはなく、判決の効力も将来功に限られる以上、訴えの利益は認められない。また、同法33条の2第7項は訴訟係属中の補欠選挙等を禁止するが、これは紛争の激化防止が趣旨であり訴えの利益を基礎付けるものではない。さらに、憲法違反を理由とする訴訟であっても、204条の訴訟である以上、訴えの利益の判断は左右されない。
結論
議員の辞職により訴えの利益が消滅したため、本案判断をした原判決を破棄し、本件訴えを却下する。
実務上の射程
選挙訴訟における「訴えの利益」の有無に関するリーディングケース。辞職等の事情変更があった場合、繰上補充や一部無効の可能性という具体的基準に当てはめて、訴訟を継続する実益があるかを判断する枠組みを提供する。憲法訴訟であっても客観訴訟としての性質上、訴えの利益が必要であることを示す。
事件番号: 平成11(行ツ)16 / 裁判年月日: 平成12年11月10日 / 結論: 破棄自判
衆議院議員選挙を無効とする判決を求める訴えは、衆議院の解散によって、その法律上の利益を失う。
事件番号: 昭和24(オ)318 / 裁判年月日: 昭和27年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】衆議院議員総選挙の無効を求める訴えにおいて、その後に衆議院が解散された場合には、当該選挙による効力は将来に向かって失われるため、選挙無効を求める法律上の利益は消滅する。 第1 事案の概要:上告人らは、昭和24年1月23日に施行された衆議院議員総選挙(長野県第1区ないし第4区)について、選挙人または…