衆議院議員選挙を無効とする判決を求める訴訟は,衆議院の解散によって,その訴えの利益を失う。
衆議院の解散と選挙無効訴訟の訴えの利益
公職選挙法204条,公職選挙法205条1項,行政事件訴訟法9条1項,憲法7条3号
判旨
衆議院議員の総選挙の無効を求める訴えの係属中に衆議院が解散された場合、選挙の効力は将来に向かって失われるため、当該訴えの利益は消滅する。
問題の所在(論点)
衆議院議員総選挙の無効を求める訴えの係属中に衆議院が解散された場合、当該訴えの利益は維持されるか。
規範
公職選挙法204条に基づく選挙無効の訴えにおいて、訴訟係属中に衆議院の解散が行われた場合、解散によって当該選挙の効力は将来に向かって当然に失われる。このため、選挙の無効を判決で宣言する対象が実効性を失い、訴えの利益(適法要件)が消滅する。
重要事実
上告人は、平成15年11月9日に施行された衆議院議員総選挙(東京都第1区)について、その無効を求めて提訴した。しかし、本件訴訟の係属中である平成17年8月8日に衆議院が解散された。
あてはめ
衆議院が解散されたことは公知の事実である。解散がなされた以上、争点となっている本件選挙によって選出された議員の地位を含め、当該選挙の効力は将来に向かって失われたものと解される。したがって、選挙の効力を争う実益がなくなり、訴えの利益が失われたといえる。
結論
衆議院の解散により訴えの利益が失われるため、本件訴えは不適法として却下される。
実務上の射程
衆議院議員選挙の無効訴訟(定数不均衡訴訟等)全般に共通する法理である。事情判決の要否を検討する以前の訴訟要件の段階で、解散の有無を確認する必要がある。参議院議員選挙の場合は解散がないため、本判例の射程は及ばない点に注意を要する。
事件番号: 昭和24(オ)318 / 裁判年月日: 昭和27年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】衆議院議員総選挙の無効を求める訴えにおいて、その後に衆議院が解散された場合には、当該選挙による効力は将来に向かって失われるため、選挙無効を求める法律上の利益は消滅する。 第1 事案の概要:上告人らは、昭和24年1月23日に施行された衆議院議員総選挙(長野県第1区ないし第4区)について、選挙人または…
事件番号: 昭和28(オ)106 / 裁判年月日: 昭和28年6月18日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】衆議院議員総選挙の当選無効を求める訴訟において、当該選挙により選出された議員で組織された衆議院が解散された場合には、当選の結果取得する議員たる身分が失われるため、訴えの利益は消滅する。 第1 事案の概要:上告人は、昭和27年10月1日に行われた衆議院議員総選挙において当選した被上告人の当選無効を求…