衆議院議員選挙を無効とする判決を求める訴えは、衆議院の解散によって、その法律上の利益を失う。
衆議院の解散と選挙無効訴訟の訴えの利益
行政事件訴訟法9条,公職選挙法204条,公職選挙法205条
判旨
衆議院議員の補欠選挙の無効を求める訴えにおいて、衆議院が解散された場合には、選挙の効力が将来に向かって失われるため、訴えの利益が消滅する。
問題の所在(論点)
衆議院議員の補欠選挙無効の訴えの係属中に衆議院が解散された場合、当該訴えの利益(法律上の利益)は失われるか。
規範
選挙無効の訴えは、当該選挙によって選出された議員の身分等の効力を争うものである。したがって、衆議院の解散等により、当該選挙の効力が将来に向かって失われたと解すべき事由が生じた場合には、訴えによって得られるべき法律上の利益は失われる。
重要事実
上告人らは、平成10年3月29日に施行された東京都第4区における衆議院小選挙区選出議員の補欠選挙につき、その無効を求めて提訴した。しかし、上告審の係属中である平成12年6月2日に衆議院が解散された。
あてはめ
本件において、衆議院が解散された事実は公知であり、この解散によって補欠選挙の効力は将来に向かって失われたものと解される。選挙の効力自体が消滅した以上、その無効を裁判で宣言することによって回復すべき法的な利益は存しないといえる。したがって、本案判決を行う前提となる訴えの利益は既に消滅していると判断される。
結論
衆議院の解散により訴えの利益が失われたため、本案の判断をせず、訴えを却下すべきである。
実務上の射程
行政事件訴訟法における訴えの利益(狭義の訴えの利益)の存否に関する判断枠組みとして活用できる。特に、身分や地位の喪失によって争訟の対象が実効性を失うケース(議員の任期満了、解散、死亡等)において、将来に向かって効力が失われることを理由に却下を導く際の先例となる。
事件番号: 昭和24(オ)318 / 裁判年月日: 昭和27年12月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】衆議院議員総選挙の無効を求める訴えにおいて、その後に衆議院が解散された場合には、当該選挙による効力は将来に向かって失われるため、選挙無効を求める法律上の利益は消滅する。 第1 事案の概要:上告人らは、昭和24年1月23日に施行された衆議院議員総選挙(長野県第1区ないし第4区)について、選挙人または…
事件番号: 昭和28(オ)106 / 裁判年月日: 昭和28年6月18日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】衆議院議員総選挙の当選無効を求める訴訟において、当該選挙により選出された議員で組織された衆議院が解散された場合には、当選の結果取得する議員たる身分が失われるため、訴えの利益は消滅する。 第1 事案の概要:上告人は、昭和27年10月1日に行われた衆議院議員総選挙において当選した被上告人の当選無効を求…