判旨
上告に伴う強制執行の停止または執行処分の取消しを命ずるためには、上告理由として主張する事情が法律上理由があると一応認められることが必要である。
問題の所在(論点)
上告提起に伴う強制執行の停止等(旧民事訴訟法500条、現行403条)が認められるための要件として、上告理由の「法律上の理由」の有無を裁判所はどのように審査すべきか。
規範
民事訴訟法500条(現行民事訴訟法403条1項等)に基づく強制執行の停止又は既になした強制処分の取消しを命ずるためには、上告人が主張する上告の理由が、法律上理由があると見える(一応の疎明がある)ことを要する。
重要事実
申請人は、仙台高裁の仮処分取消事件の判決に対し適法に上告を申し立てた。被申請人が当該判決の仮執行宣言に基づき、申請人が診療に使用中の診療室及び病室を執行したため、申請人は「執行が私益のみならず一般患者に不測の迷惑を及ぼす」として、執行の停止及び既になされた執行の取消しを求めて本件申請を行った。
あてはめ
最高裁判所が上告事件の記録及び上告理由書について一応の審査を遂げたところ、申請人が上告をもって主張する事情には、法律上の理由があるようには見えない。したがって、強制執行の停止や既になした執行処分の取消しを命ずべき要件を欠いていると解される。
結論
上告理由に法律上の理由があると認められないため、本件執行停止等の申請は却下される。
実務上の射程
本判決は現行民訴法403条1項(執行停止の裁判)等の運用の指針となる。実務上、不服申立てに伴う執行停止の申立てにおいては、単に「回復しがたい損害」等の必要性だけでなく、本案(上告審等)での勝訴の見込み(理由の存否)が判断要素となることを示している。
事件番号: 昭和23(マ)3 / 裁判年月日: 昭和23年3月3日 / 結論: 却下
仮処分を命じた判決に対し上訴の提起せられた場合、その判決の内容が、権利保全のためにする緊急処置たる範囲を逸脱して権利の終局的実現を命じているときの外、仮処分判決の執行停止決定をすることはできない。
事件番号: 昭和24(オ)273 / 裁判年月日: 昭和26年4月3日 / 結論: 破棄自判
一 仮処分の方法により強制執行を停止することは許されない。 二 請求異議の訴は、強制執行の着手前であつても提起することができる。
事件番号: 昭和23(ク)11 / 裁判年月日: 昭和23年5月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法において特に最高裁判所の権限に属するものと定められた場合に限り、適法に申し立てることができる。 第1 事案の概要:抗告人が、特定の訴訟手続に関して最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件は、日本国憲法施行に伴う民事・刑事訴訟法の応急的措置法等により、特に最高裁判…
事件番号: 昭和23(ク)5 / 裁判年月日: 昭和24年6月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】第三者異議の訴えに伴う強制執行停止決定の効力は本案の第一審判決言渡により当然に消滅し、判決における停止決定取消の裁判及び仮執行宣言は既往の効力消滅を表明するに過ぎない。したがって、控訴提起を理由とする仮執行宣言付裁判の執行停止(旧民訴法512条等)を求める申請は原則として無意義であるが、実務上は新…
事件番号: 昭和25(ク)57 / 裁判年月日: 昭和25年7月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定に憲法違反の判断が含まれる場合に限られ、通常の再抗告規定は適用されない。 第1 事案の概要:抗告人等が、下級審の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告状の記載によれば、その抗告理由は原決定における憲法適合性の判断を不当とするも…