判旨
第三者異議の訴えに伴う強制執行停止決定の効力は本案の第一審判決言渡により当然に消滅し、判決における停止決定取消の裁判及び仮執行宣言は既往の効力消滅を表明するに過ぎない。したがって、控訴提起を理由とする仮執行宣言付裁判の執行停止(旧民訴法512条等)を求める申請は原則として無意義であるが、実務上は新たな停止決定(同547条)を求める趣旨と解して処理すべきである。
問題の所在(論点)
1. 第三者異議の訴えに伴う執行停止決定の効力はいつまで持続するか。 2. 敗訴判決に含まれる「執行停止決定の取消」に対する仮執行停止の申立て(旧民訴法512条)の適否、およびその実務的取扱い。
規範
第三者異議の訴えに係る執行停止決定(旧民訴法547条等)の効力持続期間は、受訴裁判所が本案につき「判決をなすに至るまで」であり、これは本案判決の「言渡し」時までを指す。したがって、本案判決が下されれば停止決定の効力は当然に消滅する。このため、敗訴判決において既往の停止決定を取消し、これに仮執行宣言を付す裁判がなされても、それは法律上の実質的意義を有しない。上訴審において執行停止を維持するためには、旧民訴法512条による仮執行停止を求めるのではなく、旧民訴法547条(準用規定含む)に基づく「新たな停止決定」を求める必要がある。
重要事実
抗告人は、B・D間の和解調書に基づく建物明渡執行に対し、第三者異議の訴えを提起し、執行停止決定を得た。しかし、宮崎地裁は本案判決において抗告人の請求を棄却するとともに、当該停止決定を取り消し、その取消裁判に仮執行宣言を付した。抗告人はこの判決に対し控訴を提起し、あわせて旧民訴法512条に基づき、仮執行宣言付裁判(停止決定取消部分)の執行停止を求めた。原審(福岡高裁)は、これを実質的に旧民訴法547条に基づく新たな停止決定の申請と解した上で、権利の疎明がないとして却下したため、抗告人が最高裁に抗告した。
あてはめ
第一審の停止決定は本案判決言渡しにより当然に消滅するため、判決主文に掲げられた「停止決定の取消」やこれに対する「仮執行宣言」は、法律上何ら新たな執行力を付与するものではなく無意義である。したがって、旧民訴法512条に基づく仮執行停止の申請は本来対象を欠くが、当事者の真意は執行の再開を阻止することにある。そこで実務上の慣行として、これを旧民訴法547条による「新たな停止決定」の申請と解釈して判断すべきである。本件では、抗告人が主張する占有の権原(賃借権等)について適切な疎明がないと認められる以上、新法(当時の旧民訴法)547条の要件を満たさず、申請却下は正当である。
事件番号: 昭和24(ク)21 / 裁判年月日: 昭和24年9月28日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法等の法令において特に最高裁判所への申し立てが許容されている場合に限り認められ、これに該当しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人らが最高裁判所に対して抗告を申し立てたが、当該抗告が法律の規定により最高裁判所に申し立てることが特に許容された類型に該当す…
結論
本案第一審で敗訴した原告が、控訴提起に伴い執行停止を求める場合、形式的な仮執行停止の申立てであっても、実質的には新たな執行停止決定の要件(旧民訴法547条等)に従い判断されるべきであり、本件却下決定に憲法違反等の違法はない。
実務上の射程
執行停止の効力が判決言渡しにより当然に消滅するという理屈は、現在の民事執行法36条や同法10条、17条等の解釈においても、停止決定の「暫定性」を示す基本原則として重要である。実務上は、上訴に伴う執行停止を求める際には、控訴審において民事執行法36条に基づく新たな執行停止の申立てを行うべきであることを示唆している。
事件番号: 昭和24(ク)56 / 裁判年月日: 昭和24年10月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】強制執行停止のために供すべき保証の額は、必ずしも執行対象物の価格全額であることを要しない。また、単なる法律解釈の誤りを前提に憲法違反を主張することは、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:抗告人とDとの間の強制執行手続において、相手方が第三者異議の訴えを提起し、これに基づいて執行停止…
事件番号: 昭和24(ク)10 / 裁判年月日: 昭和24年3月2日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、訴訟法が特に最高裁判所の権限に属するものと定めた場合を除いてはすることができず、憲法判断の不当を理由としないものは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が、最高裁判所に対し抗告を申し立てた事案。抗告申立書の内容を精査したところ、原決定における憲法上の判断が不当であること…
事件番号: 昭和25(ク)57 / 裁判年月日: 昭和25年7月21日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、原決定に憲法違反の判断が含まれる場合に限られ、通常の再抗告規定は適用されない。 第1 事案の概要:抗告人等が、下級審の決定に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。抗告状の記載によれば、その抗告理由は原決定における憲法適合性の判断を不当とするも…
事件番号: 昭和44(ク)240 / 裁判年月日: 昭和44年9月20日 / 結論: 却下
仮処分決定に対する異議申立に伴う執行停止の申立に対し、裁判所が実質的審査をしてその許否を決したときは、その裁判に対して不服申立をすることは許されない。