判旨
裁判所法7条にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、憲法適合性判断の不当を理由とする抗告など、最高裁判所の権限に属するものと個別に定められた抗告に限定される。
問題の所在(論点)
裁判所法7条が最高裁判所の裁判権として規定する「訴訟法において特に定める抗告」の範囲、及び憲法判断を含まない通常の不服申立てが最高裁判所への直接の抗告として許容されるか。
規範
裁判所法7条の「訴訟法において特に定める抗告」とは、訴訟法等において特に最高裁判所の権限に属するものとして個別に定められた抗告を指す。具体的には、法律・命令・規則・処分が憲法に適合するか否かの判断の不当を理由とする抗告等、憲法判断を含む事項に限定されると解すべきである。これに該当しない限り、決定又は命令に対し最高裁判所に抗告を申し立てることは許されない。
重要事実
抗告人が、下級裁判所の決定又は命令に対して最高裁判所へ抗告を申し立てた事案。本件抗告の内容は、当時の民事・刑事訴訟法の応急的措置法等で規定されていた「憲法適合性の判断不当」を理由とするものではなく、特段の法的根拠なく最高裁判所への判断を求めたものであった。
あてはめ
本件抗告の内容を検討すると、抗告状の記載自体から、憲法適合性に関する判断の不当を理由とする抗告(当時の応急的措置法上の抗告)に該当しないことが明らかである。したがって、本件は「訴訟法において特に定める」特別な抗告としての要件を欠いており、裁判所法7条に基づく裁判権の行使対象にはならないと判断される。
結論
本件抗告は不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
最高裁判所に対する特別抗告や許可抗告の制度(民訴法336条、337条等)の基礎となる裁判権の範囲を画した判例である。裁判所法7条の解釈として、最高裁が管轄するのはあくまで「憲法問題」等の限定的な事項であることを示しており、答案作成上は上訴権の制限と最高裁の役割を論じる際の基礎知識として位置づけられる。
事件番号: 昭和22(ク)5 / 裁判年月日: 昭和22年12月10日 / 結論: 却下
抗告は、民訴応急措置法第七条又は刑訴応急措置法第一八条に定める抗告のように、訴訟法において特に最高裁判所に申し立てることを許したものを除いては、最高裁判所に、これを申し立てることができない。
事件番号: 昭和25(ク)143 / 裁判年月日: 昭和25年12月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告申し立てが許容されている場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人等が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、当該抗告が法律上最高裁判所に認められた特定の抗告(旧民事訴訟法419条の2等)に該当するかどうかが…
事件番号: 昭和26(ク)43 / 裁判年月日: 昭和26年5月16日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、民事訴訟法(旧法)において特に許容された場合に限定される。したがって、最高裁判所に対する抗告理由は、原決定における憲法判断の不当性を主張するものに限られ、それ以外の事由を理由とする抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が、下級審の決定に対し、最高…
事件番号: 昭和29(ク)50 / 裁判年月日: 昭和29年3月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法が特に最高裁判所への抗告を許容した場合に限られる。民事事件における特別抗告は、原決定における憲法適合性の判断の不当を理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定に…
事件番号: 昭和22(ク)7 / 裁判年月日: 昭和22年12月24日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】裁判所法7条2号にいう「訴訟法において特に定める抗告」とは、憲法判断を含む場合など、法律により特に最高裁判所の権限に属するものと定められた抗告に限定される。したがって、憲法適合性の判断を問題としない高等裁判所の決定等に対する一般的な抗告は、最高裁判所の裁判権に含まれない。 第1 事案の概要:抗告人…