判旨
公職追放該当者である弁護士が、選挙管理委員会委員長の訴訟代理人として訴訟行為を行うことは、弁護士固有の事務の遂行であり、公職追放令が禁ずる公職への関与には当たらない。
問題の所在(論点)
公職追放覚書該当者として指定を受けた弁護士、または該当の疑いがある弁護士が、公職者(選挙管理委員会委員長)の訴訟代理人として訴訟行為を行うことは、公職追放令(昭和22年勅令第1号等)に抵触し、訴訟代理権を欠くことになるか。
規範
弁護士が訴訟代理人として行う訴訟行為は、弁護士法に基づく固有の事務である。かかる事務の遂行は、公職者に対して職務執行や政治活動を指示・勧奨し、あるいは不当な支配を継続させることを意図するものではないため、公職追放に関する法令(昭和22年勅令第1号等)による制限の対象外である。
重要事実
参議院議員選挙に落選した上告人が、選挙無効を求めて提訴した。被告(参議院全国選出議員選挙管理委員会委員長)の訴訟代理人である弁護士らについて、上告人は、彼らが元内務次官や特高課長等の経歴を持つ公職追放覚書該当者であり、公職に関与する訴訟代理権を有しないと主張した。原審がこの主張を排斥したため、上告人は法令違反等を理由に上告した。
あてはめ
弁護士が選挙訴訟において公職者の委嘱を受け代理人となることは、弁護士本来の職務執行にすぎない。これは、法令が禁止する「公職者に対する職務上の指示・勧奨」や「支配の継続の実現」を目的とする行為とは本質的に異なる。また、選挙管理委員会の事務所への出入禁止規定についても、弁護士としての正当な職務行為までを全面的に禁止する趣旨ではないと解される。したがって、当該弁護士の訴訟代理権は有効である。
結論
公職追放該当者であっても、弁護士として訴訟代理行為を行うことは妨げられず、その訴訟代理権は有効である。
実務上の射程
本判決は、当時の公職追放令下での判断であるが、資格制限や活動制限がある者が「弁護士としての固有事務」を行う際の射程を検討する材料となる。ただし、最高裁の主文は、本件上告が憲法違反を理由としていないことを理由に却下(不適法)としており、実体的判断は原審の論理を追認する形をとっている点に注意が必要である。
事件番号: 昭和23(オ)21 / 裁判年月日: 昭和23年9月25日 / 結論: 棄却
一 裁判所が検察官に對して、口頭辯論の期日を通知し、これに立會の機會を與えた以上、現實に検察官が口頭辯論に立會わなかつたとしてもそれがために裁判の違法を來すことはないのである。 二 本件の資格審査は、たまたま被上告人が參議院議員として立候補の機會に行われたというに過ぎないのであつて、その審査の結果にもとづいてなされた指…
事件番号: 昭和23(オ)152 / 裁判年月日: 昭和24年3月19日 / 結論: 棄却
当選訴訟において、選挙の無効を原因として当選人の当選を争うことは許されない。
事件番号: 昭和24(オ)79 / 裁判年月日: 昭和25年7月6日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】内閣総理大臣による公職追放覚書該当者の指定行為の無効確認を求める訴えは、日本の裁判所の裁判権に属さない事項であり、不適法な訴えとして却下されるべきである。 第1 事案の概要:上告人は、昭和22年4月の参議院議員選挙に立候補し当選したが、同年5月に内閣総理大臣から公職追放覚書該当者として指定を受けた…
事件番号: 昭和38(オ)1081 / 裁判年月日: 昭和39年2月26日 / 結論: 棄却
一 公職選挙法第二〇四条によつて、訴訟を提起できる選挙人は、その属する選挙区の選挙人に限られる。 二 所属選挙区以外の選挙区の選挙の効力について訴訟の提起をゆるさないと解しても、憲法第三二条に違反しない。